約束と花言葉 | 子育て~夜遊び~お仕事

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「2008年4月28日、このお店があったら、

 またここで19時に会いましょう」




2005年4月28日にとある男性は、当時恋心を抱いた女性

にこのように言われ、気持ちの踏ん切りをつけました。



双方とも自由な恋愛は許されない立場にあり、お互いの

気持ちを感じつつも必死にブレーキをかけることで精一杯

だったようです。


そして、月日は流れ2008年4月28日。


GWの谷間ということもあり、街を歩く人は心なしか少なく

閉店することのなかったお店がある外苑前も、ひっそりして

いました。


男性は直前になり、3年前の約束を果たすべきか否かで

悩み、一時期は行くことをやめることにしていました。

しかし、意思は弱いもので、当時の記憶が鮮明にあるなか

もしかしたら彼女は来るのではないか?

ひと目だけでも会いたい。

という気持ちを抑えられず、仕事先から直帰するかたちで

外苑前のその店に向かいました。





お店は青山通りに面した3階にあります。



すっかり日も暮れた中、男性はお店の前まで来て少し後悔

していました。

(何をやっているんだ、おれは・・・)

3年前のその日以来、一切の連絡を絶っていたこともあって

約束のことすら確認する術もないわけです。


でも、彼は扉を開け、右手に広がるお店のカウンターに目を

やりました。



そこには誰も座っていません。



(来るわけないよな・・・)


そう思ったものの、すこし当時の余韻に浸りたいという気持ち

もあって彼はカウンターに腰掛けました。





30分位したとき。


お店の電話が鳴りました。



店員はカウンターに座る私をみながら何か話しをしています。



その後、店員が私のところにきて


「●●様でしょうか?

 お連れの方が本日はこれない、ということで伝言をお預かり

 いたしました。」


と。



(・・・・)


「わかりました。ありがとう」


そう応えるのが精一杯。


(覚えていたんだ・・・・。よっかた。)


来れない。


結果的にはこれでよかったと思った彼は、お酒を飲み干し

お店を後にしました。




帰り道、彼はちょっと「負けた」気がしつつも、どこかすっきり

した気持ちになっていました。






そのとき、あるものを思い出しました。


お店のカウンターに両端に白い「カラー」の花が飾ってあり、

それぞれに黄色と青いリボンがつけられていました。


当時、彼は彼女に好きな花を聞かれたことがありました。

そして、好きな色も。

すべてが、カウンターの花には備わっていたのです。



(もしかして、彼女は一度お店にきているのか?

 でも、いきなり花を店にプレゼントするわけもないか。

 もしかしたら、あの後も店には来ていて、この日のため

 お店に頼んでおいたのか。)




いろんな思いを巡らせながらも彼のこころは再び動揺を

はじめました。



花に気持ちをこめたのか?



花言葉は「愛情」



全てが事実であれば、なんとも彼女らしい憎い演出だった。




おしまい