世間ではその昔「痴呆症」と呼ばれていた病気がある。
今ではその呼称を「認知症」と表現することがメインになって
いるが、その中でも若年層にも発症例が増加している病気に
「アルツハイマー型痴呆」がある。
一般には前段のアルツハイマーという名称で総称されることが
多いだろう。この病気は認知機能低下、人格の変化を主な症状
とする痴呆性疾患の一種、という但し書きがあるが脳の萎縮に
よって最終的には「自分」が分からなくなってしまう病気。
もちろん、家族や周囲との人間関係を維持するのも不可能になる。
周辺症状として特に多いのが幻覚(幻視)らしい、見えるはずの
ないものが見えるというのは想像を絶する恐怖のようだ。
私の友人で、このような疾患の患者をメインに診ている看護師
がいる。
アルツハイマーに限らず、精神疾患患者もいるようでケアへの
配慮は日々「戦い」だという。
渡辺謙さん主演の映画で「明日の記憶」という映画があった。
これも40代にして若年性アルツハイマーを病み、20数年勤務した
企業を退職していき、妻が寄り添いながら日々闘病している。
最後には妻のことも分からなくなり、妻を「○○さん」と呼ぶ。
この映画も含め、40代を控える中私自身に置き換えて考えると
正直想像がつかない。
自分のことよりも妻や子供に与える影響の方が恐怖だ。
最近は30代の発症も多いようだ。特に管理職や中小企業で経営
にあたる人には過度なストレスと疲労で発症率は高まるらしい。
全世界では約2000万人の方がこの病気と闘っているらしい。
特効薬はご存知のようにない。不治の病。
確実に死に向かって向かってカウントダウンしていく。
癌など、他の病気でも同じだが先に紹介した友人の言葉で印象
に残っている言葉がある、
「死は万人に平等に訪れる、しかし座して待つものではなく、
今できることを医師も看護師も「本人」も積極的に実行する
べき。
もし平等でないものがあるとすれば、それは個々人の「心」
だろう。折れやすい心もあるし、毅然と立ち上がろうとする
心もある。これは万人に後者が与えられるものではないから」
現場に立ち合う人間ならでだろう。
日本ではこのような疾患へのサポート体制がまだまだ不十分
という。保険適用の薬が日本にはあるが、このような介護保険
の土台となる「労働力」の低下は、このような現場にも大きな
影を落としているという。