よくわからない宮城野親方の処分 | jiro-sumo-iのブログ

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またか、という感じです。北青鵬の暴力事件のことです。

2018年10月に、相撲協会は、前年に起きた日馬富士の貴ノ岩に対する傷害事件を機に「暴力決別宣言」(相撲協会公式HPで全文閲覧可)を出し、同年12月に「暴力禁止規定」や「力士の暴力に対する処分基準」を定めました。

しかし、最近でも2022年に伊勢ヶ浜部屋、2023年に陸奥部屋でそれぞれ暴力事件が発生し、関係者が処分されています。

協会はその都度当事者を処罰していますが、そんなモグラ叩きのようなやり方では改善しないということが証明されているにもかかわらず、今回も同じようなやり方で済ませば、きっと再発するでしょう。

相撲部屋の生活は体験したことがないのでわかりませんが、他スポーツにはない特色(付け人制度、幕下以下の力士は大部屋での集団生活、等)が遠因となっていることはないでしょうか。

対処療法ではなく、抜本的な解決策を検討すべきであり、元検事や弁護士からなるコンプライアンス委員会とやらも、もう少し一歩踏み込んで働いてほしいものです。

 

さて、2018年に出された「力士の暴力に対する処分基準」では、暴力事件に対しては、平たく言えば、原則は、横綱は引退勧告、関取は1場所出場停止、幕下以下は都度対応というものです。

ただし、これはくまで「原則」であり、実際はその悪質性によって判断されます。

従って、北青鵬の場合は原則は1場所出場停止のはずですが、その内容(新聞報道で出ますのでここでは詳しくは書きません)が相当に悪質だと判断されたのでしょう。

 

一方でよくわからなかったのが、師匠である宮城野親方の処分です。

2階級降格に加え、「お家取り潰し」(3月場所は同門の伊勢ヶ浜一門の親方が師匠代行を務める、4月以降は同一門が宮城野部屋を預かる)に近い、親方としての「死刑」とまではいかないにせよ「無期懲役」のような内容まで課せられています。

ちなみに、先に挙げた伊勢ヶ浜は宮城野同様2階級降格、陸奥は巡業部長を辞任しただけで処罰はなし、でした。

力士の処分に基準はありますが、芋づる式に処分される師匠の処分基準はよくわかりません。

確かに伊勢ヶ浜は暴力根絶問題の発端となった日馬富士の師匠でもあり、「再犯」ということが考慮されたのでしょうが、陸奥の場合、暴力当事者は幕下力士でありながら事実上「引退勧告相当」の処分でしたので、北青鵬のように内容は公表されてませんが、かなり悪質だったことが想像できます。

それなのに、辞任だけで済ませてお咎めなしです。

宮城野の場合、暴力の事実を把握しながら報告しなかったことが厳罰の理由の1つのようですが、報道を見ると伊勢ヶ浜だって同く報告義務違反を犯してます。

また宮城野は、現役時代に3回の処罰を受けたことも影響したようですが、その3回というのは、日馬富士事件の際に同席していながら暴行を止めなかったこと、優勝力士インタビューで観客を促して三本締めをしたこと、同じく万歳三唱をしたこと、だと思いますが、いずれにせよ、今回の件とは無関係です。

むしろ明らかな「再犯」であり、親方としての地位が上(5段階中最高位の理事、宮城野は3段階目の委員)の伊勢ヶ浜より重い処分という理由がよくわかりません。

過去「お家取り潰し」に近い処分を受けた親方は、

・暴力団関係者との交友が判明した木瀬(北の湖部屋に吸収、その後処分が解かれ部屋を再興して現在に至る)

・弟子に対する暴力・パワハラ事件を起こした中川(部屋は解散して所属力士は他部屋へ移籍、自身は時津風部屋に移籍して現在に至る)

・コロナガイドラインに従わずに遊び歩いて処分されたにも関わらず、マージャン店や風俗店で遊び続けた時津風(辞職したが実質クビ)

の例がありますが、いずれも自身の不祥事によるものです。

そして最もわからない、極めつけは、宮城野部屋を伊勢ヶ浜一門に預けるという内容。

その伊勢ヶ浜一門の総帥はまさに伊勢ヶ浜親方。

宮城野と同じような罪を2回も起こした人間に、宮城野の面倒を見て指導しろ、とは噴飯ものです。

もちろん、宮城野は責を免れるものではありませんし、2階級降格という処分は、過去の例からしても已む無しでしょうが、それ以上は、宮城野の現役時代の振る舞いに業を煮やしていた協会幹部の、感情に任せた処分と取られても仕方のない内容のように思います。

少なくとも報道で見る限りはそう思ったわけで、この辺りを協会は記者会見でも開いて明確に説明してほしいものです。