恋愛心理3.ピンクレンズ効果 | 日本心理教育院 www.jip.ac

 

男女が恋愛するとき「ピンクレンズ効果」という言葉があります。本当は相手には短所も多くあるのですが、相手を色眼鏡で見ているので相手のすべてがピンク色に移るのです。ピンクレンズ効果は「あばたもえくぼ」と同じ意味で使われます。

男も女も恋愛初期はすべてが幸せで楽しく毎日相手に会いたいと思っています。一日中一緒に過ごしても離れているときは、男は良い気分を維持したくて、女は良い感情を感じたくて夜遅くまでメッセジーのやり取りをしたり電話をします。時々女が男の行動が気に入らず、腹を立てたり怒ったりしても男はそのような女の姿すら愛らしく感じられます。相手の短所さえも魅力として映るからです。



恋愛初期に男は女が大好きです。その理由は、自分の言葉と行動に対して女が反応をしてくれるからです。男は女がいくら美人であっても反応をしてくれないと楽しくもなく女に対して情熱を生成することはできません。

男は女と恋愛をする時、よくふざけたりいたずらをします。なぜなら女から反応が出てくるからです。男は女の反応によって気分が良くなったり悪くなったりします。

男のふざけに女が何度か反応してあげると男は空気も読めずにふざけてばかりいます。

「もうやめてよ」と女はそれ以上我慢できずに男に嫌だと伝えました。でも男は女の拒絶表現も反応だと感じられ、ふざけることをやめません。

しかし女は男の心とは異なります。しかし、人々は男と女の心は同じだと考えるため、男は自分が楽しければ女も楽しんでいると勘違いをします。しかし、今の状況は女は男のふざけ対して怒っています。「もうやめてってば」男はふざけるのをやめるべきですが、男は「○○ちゃん怒るのもかわいい」と言いながらなかなかやめません。

 

男は、自分が面白く楽しければ女も喜んでいると考えているからです。
 

「ピンクレンズ効果」はお互いを大変な錯覚に陥れ、相手に短所はまったくなく長所だけが見える現象です。こうした錯覚が続くと「ピンクレンズ効果」は心理障害に発展します。それで恋愛する人たちはみんな一時的な心理障害の状態です。

男は、良い気分に没頭している情熱を愛だと錯覚して、良い気分を感じる度に女に「愛している」と言います。しかし、愛は気分ではなく感情です。男は良い気分が継続されることでまるで気分を感情のように感じられ、自分が女を愛していると錯覚します。これは厳密には愛の感情ではなく、良い気分に過ぎません。

男は良い気分の情熱にいくら没頭していても、気分が悪くなる瞬間、情熱は一瞬で消えます。男の情熱を消す一番の原因となるのは女の干渉です。男が良い気分に没頭しているのに女が干渉し出すとその瞬間、情熱が消えます。男はこのような状態に耐えられず、悪い気分が流入されると、無条件にこれを除去しようとします。この時、男の情熱も一緒に除去される現象が起こります。

男は午前中にいくら良い気分の状態で過ごしていても午後になって気分が悪くなると、午前中も気分が悪かったと感じます。男は現在の気分に左右される心を持っているからです。

反面、女の愛は継続的な感情であり一貫しています。良いものが入ってくると、以前よりも良いと感じ、悪いものが入ってくると以前よりも悪くは感じますが、愛の感情は変わらずに継続されます。それで、女は男から傷を溜めながらも男を愛し続けます。これが女の心です。



男は気分次第なのですべてが場当たり的で一時的なものです。なので、男の気分が良いときはできればそのままテンションを下げないようにするべきです。女は、男と違って感情が作用しているため、気分が悪くなると必ず傷ができます。傷は感情です。いくら気分の良い状況でも、男が他の女に親切に接している姿を見た瞬間、心には傷ができます。

気分が作用する男は、雲をつかむような話や大げさな話が多く、感情が作用する女は、何もかも逃さずにすべてを記憶しています。このように、男の心と女の心は本質が異なるため、お互いストレスと傷を受けるのはある意味当然なのです。

男と女が恋愛するとき問題が生じる原因は男の心と女の心が異なるということを知らないからです。相手の心が分かると相手の心理も解釈できます。相手の心理を知って理解と配慮をすれば、ストレスと傷を与え合うことはあまりありません。

男が作り出す情熱の本質は、良い気分が継続されることです。男が今情熱があるということは女からストレスを受けていないという意味です。女が男からの関心に反応をすると、気分が良くなった男は情熱のエネルギーを生成し続けます。

女が作り出す愛の本質は、継続して与えられる男の関心です。女は、男が与える関心を愛だと考えます。それで、男が女に情熱を注げば注ぐほど女は男により夢中になります。各自の気分と感情に夢中になっているのが恋愛の心理です。こうした一時的な心理障害を「ピンクレンズ効果」と呼びます。

2人が各自の気分と感情にのぼせて実体をまともに見ることができなくても、ピンクレンズ効果は6カ月から3年の間に自然消滅します。男と女にこのピンクレンズ効果がなければ結婚に至ることもありません。それで人間の無意識では男の気分と女の感情を結合させるために一時的に心理障害に陥れます。無意識のこのようなはたらきがなければ男の情熱と女の愛は生成することができません。それで一時的な心理障害であるピンクレンズ効果は健康な心理障害だと言えます。この一時的な心理障害は努力しなくても自然に治癒されます。

時間が経つと、無意識は男女に発生したピンクレンズをゆっくり剥がし始めます。ピンクレンズが剝がされることで男と女はお互いに見えなかった相手の短所が見え始め、女の不平不満が噴出し始めます。そして男は女の不平不満にストレスを受けるようになります。

「いつも自分勝手なんだから!その性格治さないともう別れるわよ!」

「前は俺の男らしさが好きだといっていたくせに今更何言ってんだよ!俺は前も今も同じだ」

ピンクレンズのおかげで、相手のすべてが好きだったものが、ピンクレンズがはがれる瞬間、相手の欠点が見え、男と女はストレスと傷を受けるようになります。

男と女の恋愛が通常3年以内で終わる理由もピンクレンズに寿命があるからです。もちろん10年以上恋愛しているカップルもいます。その理由は、二人が完全な心理障害か、あるいは男に無限責任が生まれ、女に母性愛が生まれたからです。ここで完全な心理障害とは「ピンクレンズ効果」ではなく、二人にとって楽しく面白いことが長い期間続いているだけです。無限責任と母性愛とは、二人が長く付き合っているために自分も知らずに出来上がった無意識の愛です。それで別れることもできずに意識での愛も情熱もないままただ家族のように今日も会って明日も会う関係が続いているのです。

恋愛心理は「ピンクレンズ効果」によって一時的な心理障害に陥っている状態です。しかし、これは男女ともに健康な心理を持っている証でもあります。純粋な男の情熱と純粋な女の愛が結合したのが恋愛です。しかし、中には純粋さとは無関係に目的を持ってアプローチする人もいます。

「あの男めっちゃ金持ちなんだって。 私絶対にあの男を手に入れる!」
このように目標を持って恋愛をする人が本当の心理障害です。ピンクレンズ効果のような一時的な健康な心理障害ではなく、目的を達成するために関係を維持したり、目的を達成することが不可能であれば直ちに対象を変えてしまいます。



男が自分が思ったほどのお金持ちでなければ別れを告げ、あるいはたくさん貢がれて目的を達成すると別れを告げます。目的を持って意図的にする恋愛は、目的を達成する瞬間、恋愛も終わりを迎えます。

しかし、純粋な情熱と愛で始めた恋愛が長続きせずに、異性との別れと交際が繰り返されているのであれば、それは相手に原因があるのではなく自分に原因があるということを知らなければなりません。

自分と別れたAも、Bも、Cも彼らの過ちで別れたのではなく、自分の基準に合わなくて別れただけです。自分の基準が高すぎたり、過度に自己中心的だったりすると、周りに人がいなくなります。満足を知らない人は、いくら相手が情熱や愛を注いでもそれでは満たされないと文句を言うからです。

人はみんな自分の思考基準と合わない時はストレスと傷が生じます。しかし、自分と思考基準がぴったり合う人はこの世に一人もいません。それまでに生きてきた環境や文化はもちろんのこと、思考基準というのは自分が経験した記憶によるものであり、自分と同じ記憶を持っている人は一人もいないからです。自分の記憶は全世界で唯一自分だけのものであり、当然自分の思考基準も全世界で唯一自分だけがもっているものです。したがって自分の思考基準とぴったり合う人は一人もいません。相手と思考基準が異なることでストレスと傷が生じるは必須です。

ストレスと傷を受けないために自分と同じ思考基準の人と出会わなければならないと考えるなら、すでに自分の心理に問題があるという意味です。そしてもし相手が自分とぴったり合うと感じるのであれば、心理障害が発生したという意味です。

恋愛心理を見ると、相手と1~2度別れるのは恋愛の試行錯誤かも知れません。恋愛も試行錯誤を経てこそ、恋愛心理を自然に学ぶことができるからです。ところが、このような試行錯誤が2~3回を超えて絶えず相手を変えながら恋愛をしているなら心理障害が発生しているのではないか点検してみるべきです。

近年の男と女の交際は即興的なもので付き合い始めてすぐに別れるカップルもたくさんいます。
 

このように心理障害の人は例外として、健康な心理の男女はピンクレンズの効果が6か月過ぎたころから徐々に効果が消えていくために、男女間で葛藤も現れはじめます。付き合って何ヶ月であれ二人の間に葛藤が生じ始めたなら一時的な心理障害から脱しつつあるとみることができます。

ピンクレンズ効果の効力が完全に消えて、初めて男と女は人間と人間として向き合うことになります。ストレスや傷によって自分の気分と感情が良くなったり悪くなったりしながら付き合うことが真の恋愛です。しかし、自分の恋愛相手が頻繁に変わっているなら自分の心と心理に問題が生じているのではないか振り返ってみる必要があります。

愛する男女関係において、相手の欠点もすべて長所に見えることがピンクレンズ効果ですが、ピンク色のレンズをとおして相手を見ているため、恋に落ちるとすべてが美しく見え始めます。幸福感と関連するドーパミンというホルモンが分泌され、幸福を感じたり女性は恋をするときれいになるとも言われます。



しかし、このピンクレンズ効果は6カ月から3年の間で相手の長所と短所が認識され始め、愛のポジティブ感情は、恋愛1年後に50%近く下がり、次第に消滅していきますが、約900日後にはポジティブ感情が完全に消えるという研究もあります。つまり愛の感情は900日間の嵐のようなものなのです。

正常心理ではピンクレンズ効果は消えていきますが、意識や習慣に問題が生じた人はピンクレンズ効果が持続することもあります。この場合は「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉もあるように、自分と相手に心理障害と身体問題を誘発するようになって身体と心が崩れる現象が発生します。

ピンクレンズ効果は相手の長所と魅力だけが見えるため、相手の短所も長所として歪んだ認識をする現象と言うことができます。相手の長所も短所もすべて魅力的だと認識されてポジティブ感情が作られ、男の情熱が最大化され女の愛が最大化されます。そしてこの感情は100%意識で自覚ができます。

ピンクレンズ効果は一時的な現象であるために、時間が経つにつれ徐々に慣れてきて、相手の短所が一つずつ認識されるようになり、些細な問題で二人は感情対立をしてストレスや傷が発生し、ネガティブ感情が作られるようになります。この時がピンクレンズの効果が消え始める瞬間です。このネガティブ感情が生成され始めると情熱が減り始めますが、情熱が消滅するまでに6ヶ月から3年の時間がかかり、ピンクレンズ効果は3年以内で完全に消えることになります。

ピンクレンズ効果は、世の中のすべてが自分と相手を中心に形成されているという錯覚に陥れるため、周りの人の話と助言には聞く耳をもたず、無条件にポジティブ感情が生まれるしかありません。過度なポジティブ感情によって人間関係は自分と相手の愛情関係のみが存在すると歪んだ考えをするようになります。しかし男の情熱が歪むと心理障害が発生し、女の愛が歪むと心理障害が発生します。そして心理障害の人も本人たちは「ピンクレンズ効果」を経験しているために純粋な愛だと錯覚する現象が生じるのです。

 

 

 

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