透析患者さんの検査値の見方③:尿素窒素・クレアチニン・尿酸編 | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

3/3はイオンモール高崎で腎臓病の啓発イベントがありましたヒヨコ
日高病院腎臓病教室の参加させていただいたので、後日この場でご報告しますねハート


今日は、透析患者さんの検査値の見方③です。








わんわん尿素窒素:BUN

これは血液中の尿素に含まれる窒素量を表しています。
腎機能が低下するとBUN値は上昇するので、透析導入前は腎機能をみる指標の一つになります。
透析中にもっとも除去しやすい物質です(透析できれいになりやすいってこと)。



流れ星透析患者さんの目標値:透析前100mg/dl以下




食事を取ると上昇します。
なので食事がきちんととれているかの指標にも使います。

沢山食べても、尿がでている時はそこまで上昇しません。
尿が出ている方は食べ過ぎ注意です!!
尿がでる期間を長くすることが、生命予後にとても大切と言われています。弱りながらも腎臓が動いている時は、腎臓に優しい食生活を心がけましょうグッ

あと逆に食べられてなくて、筋肉からどんどんやせていく時もあがりますので、全身を診ながら判断することになります。

胃などの消化管から出血していてもあがります。貧血が進んでる時は要注意です。

毒素の代表的なものなので、高いということはつまり、透析が足りていない と判断し、透析効率を上げることも考えます。





イメージ 2






うさぎクレアチニン:Cr


筋肉にエネルギーを供給するクレアチン代謝産物で、血液から糸球体(尿を作る腎臓内の工場でしたね)でろ過されたあと、ほとんど再吸収されずに尿に捨てられます。
これも血液中に溜まる毒素の代表的なもので、透析治療の指標になりますよキラキラ




流れ星透析患者さんの目標値:透析前8.0~15.0mg/dl




筋肉量の影響を受けることから、体格のいい方では高い値になります。
ものすごく高い時、透析が足りないと考え透析条件を変更したり、穿刺場所が近すぎて再循環していないか、ダイアライザーが正しい向きでつけられているかなど確認することになります。

透析が始まる前は、まさに腎機能の指標として使われますよね。
このクレアチニンと性別・年齢から計算するeGFR(糸球体濾過値)こそ、外来などの際に現在の腎機能がどれくらいかみるときに説明されると思います。






イメージ 1





三毛猫尿酸:UA

痛風の原因物質です。
これも毒素の指標なので、透析が不足していると上昇します。
糸球体でろ過されたあと、ほとんどが尿細管で再吸収されて尿中に捨てられます。




流れ星透析患者さんの目標値:透析前9.0mg/dl以下



イメージ 3

痛風の原因物質なので、高いと痛風を起こしやすくなります。
痛風を起こしたことがある人は、正常範囲内でも発作を起こすことは少ないないです。
ちなみに、透析患者さんでは、高くても痛風発作は起こしにくいのが特徴です。
イメージ 4


この尿酸値も動脈硬化の原因物質として注目されています。
透析患者さんはどうせ透析で抜けるからと、そんなに下げなくてもいいような風潮もありましたが、このごろはしっかり下げた方が心筋梗塞などの発症を抑えられるのでは、と考えられより厳格な治療に力が入れられるようになってきました。

あなたはいかがですか?

イメージ 5


2012年6月4日のブログにも尿酸のことが書いてあります。
(ほかにもちょこちょこ書いたはずですが、見つけられませんでした・・。)

興味がある方は見てみてくださいね音符