透析患者さんの検査値の見方①:貧血編 | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

今日は久しぶりに透析を受けている方向けにハート
検査データの見方をお話しします。



今日は【貧血関係のデータの見方】



◆ヘモグロビン(Hb)
赤血球の中に存在する鉄を含んだたんぱく質です。
肺で酸素とくっついて、全身に酸素を運ぶ車の働きをしています。


透析患者さんの基準値は
9.0~11.0g/dl
とされていますが、個人的には10~11くらいがいいのではと思っています。


◆ヘマトクリット(Ht)
血液中に占める血球の容積の割合をみています。
ほぼ赤血球の体積比と同じなんですよ。


透析患者さんの基準値は
男性:30~50%
女性:30~45%


ヘモグロビンもヘマトクリットも貧血の状態をみています。
血が濃くなりすぎると、頭が痛くなったり、シャントが詰まってしまったり、心筋梗塞や脳梗塞などもは発症しやすくなります・・・えーん

薄すぎると心臓に負担がかかり、動悸・息切れ・疲れやすい・だるい・寒いなどの症状がでてきますえーん

脱水の時も、ヘマトクリットは上昇しますよ!!
水が減り濃くなるからです。


イメージ 1



つぎは鉄関係
鉄は、赤血球のもとになるものですよキラキラ




◆血清鉄(Fe)
血清鉄は、DNAを造ったり、酸素を運搬したり、エネルギーを産生したり、生きていくのに必須の物質です。
私たちの体に3~4gほどありますが、血清中には3~4mgしかないんですよ。


透析患者さんの基準値は
血清鉄(Fe) 70μg/dl以上


フェリチン
主に肝臓に貯蔵されている鉄と結合しているたんぱく質です。
体の中にどれくらい鉄が溜まっているか判断する指標になります。
血液中には少ししか存在しない鉄は、フェリチンに形を変えて体に溜まっているんですねキラキラ


透析患者さんの基準値は
フェリチン 60~300ng/ml


血清鉄の上昇は
鉄剤の過剰投与やヘモクロマトーシスなど。

フェリチンの上昇は
大量に輸血した後や、鉄剤を過剰に投与した際におこる続発性ヘモクロマトーシスなどです。



逆にこの2つが低下している時は
まさに鉄が足らないとき。出血した後などが多いです。


この基準値は、今腎臓の医師の中でも意見が分かれているところで、どこがいいとはいいにくいですが・・・。
足りなすぎも、多すぎもよくないんだよと、ご理解くださいね爆  笑