運動は慢性腎臓病の発症や増悪に影響するか? | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

『腎臓に負担をかけないよう運動しようと思いますが、どれくらいならいいんでしょうか』
 
 
外来で質問を受けました。
 
これはなかなか難しい問題で
これ!!!
といったお答えができないのが心苦しいところです。。。
 
 
 
なぜなら
腎臓に負担をかけない運動や仕事とはどの程度か
というのは個人差が大きいからです。
 
 
 
また
もともとの腎臓の病気にもよりますし、腎機能の推移や、合併症の状態、薬の効き目はいいのかなど
さまざまな要因で変わってくるからです。
 
 
 
同じ患者さんでも
その時の状態によって変わります。
 
 
 
なので
主治医と相談していただくのが一番いいでしょう。
 
 
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私からお話できる一般論をご紹介します。
 
 
日本腎臓学会から発表されたCKD治療ガイドライン2013から
『運動と腎機能の関係について』
 
 
 
 
すでに透析療法を受けている人では
運動量の低下が死亡と関係があり
健康的に生活できている方が入院・死亡が少ないと報告されています。
 
 
 
でも
透析を必要とする前の慢性腎臓病(CKD)の状態での
運動がいいか悪いかを調べた大規模な論文はないのが現状です。
 
 
 
 
45件の大規模試験をもとに
1863例のCKD患者さんを対象として調べたものでは
 
 
運動を介入して行った人達では
運動に対応できる能力や、循環器系の指標(血圧・心拍数など)、
栄養の指標などの健康関連の生活度合の改善が認められた
と報告されています。
 
 
 
ただ
腎機能や尿蛋白量などの変化については
十分な分析ができていないようです。
 
 
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また
尿蛋白や腎機能に与える影響について検討した報告もありますが
結果にばらつきがあるので
実際に運動がCKDに与える影響は不明です。。。
 
 
 
 
 
はっきりしていることは
運動を行うことで肥満のCKD患者さんの体重減少や収縮期血圧が低下すると
尿蛋白量を低下させるということです。
 
 
 
 
 
ぼんやりしていますねあせる
目安をご紹介します。
 
 
 
安静にしている時の酸素の消費量を基本に
運動の強さを考えてみましょう。
 
 
安静時酸素消費量を『1メッツ』とします。
 
実際の日常生活や運動量は
安静時の何倍の酸素を消費するかで運動強度をはかるものです。
 
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体に水分が多い状態(足のむくみ・胸水貯留など)や
腎機能がどんどん低下している時
心機能が低下している時などは
 
かならず主治医に運動量を確認してください。


5~6メッツの強度の運動は
蛋白尿や腎機能の低下を軽減し、腎臓を保護する効果があると
報告されていますよ。
 
 


 
 
もっと詳しく知りたい方は
『腎疾患患者の生活指導・食事療法に関するガイドライン』
を見てはいかがでしょう。
 
 
腎臓の各疾患やタンパク尿の量などでの運動目安が
記載されていますよ。
 
 
 
全身状態や腎機能が落ち着いている方なら
翌日に疲れを残さない程度の運動や、運動時ハアハアしない程度の運動は問題ないでしょう
 
 
 
 
 
 
 
運動といえば
先日ご紹介したリハビリテーションセンターの改装ですが・・・・・・
すでに終わっていましたあせる
 
 
 
とっても明るくて開放的で
素敵ですキラキラ
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受付です。
廊下からすぐなので、気軽に声をかけやすいです。
 
 
 
 
 
理学療法室です。
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色々な機材が沢山あります。
電動自転車などは、私もぜひ!利用したいです
 
 
 
 
受付横のカウンターです。
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電子カルテが何台も並び、スムーズに患者さんの情報が共有できるようになっています。
 
 
作業療法室です。
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手の外科を得意とする整形外科医師がいるので
他院からの紹介も後を絶ちません。
この患者さんもマンツーマンで頑張っていますね!
 
 
 
日高病院リハビリテーションセンターでは
骨折後の方や、脳梗塞・脳出血後、心臓の手術後や体力低下した方など
広くリハビリ治療しています。
 
 
 
また体力が低下すると飲み込みが悪くなるので
むせこんだり、肺に入って肺炎(誤嚥性肺炎)を起こしたりします。
 
 
この際にも言語療法士がしっかりリハビリしてます。
頼りになるスタッフばかりです
 
 
外来通院のリハビリも行っており
いつも大賑わいです