先日は腎炎、IgA腎症についてお話しました。
今回は
腎臓の病気の一群である
ネフローゼ症候群についてお話します。
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/13/dd/g/o0078006514556943193.gif?caw=800)
ネフローゼ症候群とは病名ではなく
一定の症状が現れた状態をさします。
具体的には
腎臓の糸球体が障害されることで
大量のたんぱく質が排泄され
血液中のたんぱく質(アルブミン)が減少する病気の総称です。
高度のタンパク尿、低アルブミン血症、脂質異常症、むくみなどの症状が現れます。
どの病気が起こっているか確定するために
腎生検を行います。
腎生検は
腎臓に針を刺して、腎臓の組織を採取し調べる検査でしたね。
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/05/3d/g/o0078006514556943197.gif?caw=800)
ネフローゼ症候群では
糸球体毛細血管壁に異常が起きて、正常なろ過機能が果たされなくなることで、大量のタンパク尿が出現します。
その原因によって、ネフローゼ症候群は大きく2つに分けられます。
ひとつは
前回お話した慢性糸球体腎炎などの腎臓自体の病気が原因の原発性ネフローゼ症候群。
もうひとつは
他の病気が原因となる続発性ネフローゼ症候群です。
これには
全身性エリテマトーデスなどの膠原病や
糖尿病などがあります。
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/d3/d6/g/o0079006514556943199.gif?caw=800)
発症数で多いのは原発性です。
原因の7~8割が、慢性糸球体腎炎です。
年齢で発症する病気に偏りがあります。
15歳以下では微小変化型
50歳以上では膜性腎症が多くなります。
![イメージ 5](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/65/9e/g/o0079006614556943203.gif?caw=800)
アルブミンには
水分を血管内に保とうとする働きがあり、減少すると水分は血管内から他の体内へ移動していまい、全身にむくみが生じます。
体内のたんぱく質も不足するので
それを補うために肝臓でたんぱく質の合成が促進されます。
その過程でおまけとしてコレステロールや中性脂肪なども増えてしまうので
脂質異常も発生してしまうんですよ。
![イメージ 6](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/61/5e/g/o0182014914556943207.gif?caw=800)
ネフローゼ症候群はむくみの症状が強いため
多くは手足のむくみや急な体重減少などで異変に気付きます。
尿の泡立ちもタンパク尿が出ていると教えてくれるサインなので
トイレでのチェックも大切になります。
![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/14/55/g/o0131005314556943213.gif?caw=800)
治療は
食事療法や生活改善、薬です。
むくみの治療では
安静にして、食事療法(たんぱく質制限、塩分制限)、水分制限を行い、利尿剤を使用します。
タンパク尿の治療では
副腎皮質ホルモン剤や、免疫抑制剤を使用し
原因となっている腎臓の炎症を抑えます。
高血圧・脂質異常の治療では
血圧を下げるために降圧薬(ARB、ACE阻害薬)
脂質を改善するためにスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)などを使用します。
ネフローゼ症候群では
血管の中がどろどろになっており
血栓(血液の塊)ができやすい状態になっています。
血栓ができるのを防ぐために血液がさらさらになる薬を併用することも多いです。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/9a/51/g/o0230018614556943220.gif?caw=800)
尿の泡立ちがなかなか消えない時や
むくみがひどい時はネフローゼ症候群かもしれません。
要注意ですよ!