血管の硬さから状態を予測し、病気の発症を防ぎましょう! | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

朝から雨が降ったり止んだり・・・。
ムシムシして実に梅雨らしい天気ですね。
 
 
 
 
イメージ 6
 
 
 
気温がさほど高くなくても、湿度が高いと汗がでにくくなります。
 
私達の体は、汗をかくことで体温調節をしていますので、汗がでないと体に熱がこもり、熱中症を発症してしまいます。
 
 
 
暑いところにこもらず、換気をして、水分をしっかりとって
熱中症予防をしてくださいね!
 
 
 
 
 
イメージ 1
 
 
 
 
 
今日は
血管の硬さから体の状態を予測し
動脈硬化が原因となる病気の発症を予防する検査
についてお話しします。
 
 
 
 
 
イメージ 2
 
 
 
 
みなさんは
 
PWV・ABI
 
ってご存知ですか?
 
腎臓病教室の検査についてお話しした月や、このブログでも少し触れたことがありますね。
 
 
 
 
 
 
PWVとは『脈波伝播速度』といって
血管の硬さをみる検査です。
 
 
 
体の異なる2か所で脈波を測定し
その脈波を計算される時間の差から
脈波が血管内を伝達する速度を測定する検査です。
 
 
 
血管の機能が低下し、動脈硬化が進んだ状態となるほど
測定値は高くなります。
 
検査結果は、年齢や血圧によって変化します。
 
 
 
40~50歳代では、心臓・血管に関係した病気の発症と関係があるのは、
1700cm/秒以上とされています。
 
高齢の方では基準値が高くなるので、それを考慮しつつ
評価を行います。
 
 
 
イメージ 7
 
 
 
他にも脈波の形や、その形を形成する箇所の時間なども考慮し
血管が一部詰まっているかなども予測できるんですよ。
 
 
 
 
 
腎臓病をお持ちの方は、血管の病気にかかりやすいため
私の外来では原則1年に1回は確認するようにしています。
 
 
 
イメージ 3
 
 
 
 
PWVと一緒にABIも検査できちゃいます。
ABIとは、足関節上腕血圧比のことです。
 
腕と足首の動脈の血圧の差から、足の動脈に細い部分があるか
つまっているところがあるかを確認する検査です。
 
 
 
 
通常
足の血圧のほうが腕より高いのですが、
足の動脈に細い部分やつまっているところがあると
逆に足の血圧のほうが低くなります。
 
その結果を、足関節/上腕血圧から計算して調べるんです。
 
 
 
この値が低い場合は
足の血管が細い『閉塞性動脈硬化症』と診断されます。
 
 
 
イメージ 4
 
 
 
 
このABI値と死亡率の関係が検討された研究があります。
1992~2004年までに公表された16の研究をまとめたものです。
 
心臓病の既往のない男性2万4995人、女性2万3339人、年齢は47~78歳を対象としています。
 
ABI値が1.11~1.20を基準として
死亡率がどこで高くなるか調べています。
 
 
 
 
結果
ABI値が1.0以下であれば死亡率が高いことが示されました。
 
 
 
 
 
 
以前は
ABI値が0.9以下だと、閉塞性動脈硬化症の疑いがあるとされてきましたが、
この頃はABI値が1.0以下の方も注意が必要といえるでしょう。
 
 
 
 
 
他には
糖尿病の持病があったり、透析をしていたりすると
動脈の壁が石のように固くなる石灰化を起こしているので
本当の値がでないことがあります。
 
 
 
 
この際は
体の末端の細い血管の状態を確認する
皮膚組織潅環流圧検査:SPPなどを実施して
血管の状態を適切に調べてく必要があります。
 
 
 
 
イメージ 5
 
 
 
 
毎年結果が変わってくる人が多いので
65歳以上の方であれば
1年に1回はABI測定するのをお勧めします。
 
 
 
保健適応になっていますよ。
腎臓病をお持ちの方は特に大切な検査です
 
ぜひかかりつけの医師に相談してくださいねドキドキ