慢性腎臓病での”リン=P”気を付けていますか? | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

慢性腎臓病(CKD)の治療には
 
腎機能悪化の進行を遅らせること
心血管疾患の発症を抑えること
 
という2つの大きな目標があります。
 
 
 
 
 
 
イメージ 6
 
 
 
心血管疾患と腎臓病は関係あるかですって?
 
腎機能が低下したり、尿蛋白が多く出ていたりすると
腎不全となり透析が必要になる前に
心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞・脳出血)で命を落とす可能性が高く
なることは
以前お話ししましたね。
 
このことです
 
イメージ 3
 
 
 
 
腎臓や心臓・脳などの血管に関係した全身を守るために
血圧管理や脂質管理、食事のタンパク制限などをお勧めしています。
 
 
 
その中で最近注目されているのが
『ミネラル代謝の管理』です。
 
 
『電解質』のことです。
 
 
 
 
 
                  
 
 
 
 
 
CKDの方が、外来で主に管理されているミネラルといえば
 
 
カリウム
カルシウム
リン
 
 
ですね。
 
 
 
 
今回はリンのお話しです。
 
 
 
イメージ 5
 
 
 
 
血清リンの正常値は一般に2.5~4.5mg/dlとされていますが
腎機能が低下すると尿に排出されにくくなり
血液中のリン濃度が上昇してきます。
 
 
 
このリンの上昇が
CKD患者さんの今後に
さまざまな悪影響を及ぼすことが知られています。
 
 
 
 
イメージ 7
 
 
 
2005年にKestenbaum氏が報告した内容からご紹介しましょう。
 
約3500人のCKD患者さんの血清リン濃度と生存率の関係をみた
アメリカのデータです。
 
 
 
 
腎機能が低下するにつれ、リン値は上昇してきます。
 
 
 
 
その中でも
 
 
①リンの濃度が高いまま経過した患者さん達
②低いリン値で経過した患者さん達
③その中間
 
 
と3群にわけて
 
 
4年間の生存率
(4年後どれくらいの方が生存しているかの割合)
をみています。
 
 
 
桜     桜     桜
 
 
 
 
結果
 
リン値が低い患者さん達に比べ
リン値が高い患者さん達は
生存率が有意に不良でした。
 
 
 
 
同時に
血清リン値がおよそ1mg/dl高くなると
死亡の危険性が30%以上増すこと
 
 
血清リン濃度が3.5mg/dlを超えると
死亡の危険性が上昇することも示されました。
 
 
 
 
 
 
他にも
リン値と死亡の危険性の関係については沢山の報告があります。
 
 
透析を開始する以前から
しっかりしたリン値のコントロールが必要なことがわかりますねニコニコ
 
 
 
 
 
イメージ 8
 
 
 
リン値の上昇を抑えるためには
タンパク摂取量を低下させるのが基本です。
 
 
それでも上昇してしまうときは
リンを体外に捨ててくれる薬を服用します。
 
 
ただ
現在透析を開始する前のCKD患者さんに使えるリン低下薬は
カルシウムが含まれているものに限られています。
 
 
カルシウムとリンが両方高いのは
一番悪いんでしたね。
 
 
 
復習しましょう
カルシウムとリンが高いと
血管の壁に取り込まれ、血管の筋肉が骨のように固くなってしまうんです。
これを『石灰化』といいます。
 
 
石灰化を起こすと動脈硬化は早く進行します。
 
 
 
結果
透析の開始も早まりますし
心血管疾患で命を落とす確率も上昇してきてしまいます。
 
これは防ぎたいところです。
 
 
 
 
 
透析患者さんだと
カルシウムを含まないリン低下薬が使用できます。
 
 
はやく透析導入前のCKD患者さんでも
使えるといいですね。
 
イメージ 4
 
 
 
 
 
 
 
今日は関東地方は全域で雨模様です。
 
日高病院のまわりにはたくさんの緑がありますが、
この時期はなんといっても
 
桜桜
 
です。
 
 
昨日撮影した桜の写真をご紹介します。
イメージ 1
 
青空に 
うすピンクの桜が映えて
とってもきれいでした
 
イメージ 2
 
この雨で散ってしまうと思うと
なんとも切ないですね・・・・・・。
 
 
また来年楽しみにしています