『腰が痛いから、痛みどめください。』![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/330.gif)
![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/330.gif)
『膝が痛いから、薬局で痛みどめ買ってるんだよ』
痛みって本当につらいですよね。
和らげる方法があるならすがってしまうのは、当たり前です。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/02/ad/j/o0096007214556941365.jpg?caw=800)
今まで腎臓病教室では
痛みどめが腎臓を悪くすることがあるので、
薬の種類や、服用方法に注意が必要
とお話ししてきました。
今回は
『血圧を下げる薬を2剤と痛みどめを服用すると
急激に腎臓が悪くなる危険性が高くなる』
という研究結果が発表されたので
ご報告します。
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/b5/3a/g/o0074007814556941371.gif?caw=800)
今回でてくる薬は
①尿蛋白を減らしたり、糸球体にかかる圧力を減らすことで
腎臓を保護しつつ血圧を下げるといわれている
『ACE阻害薬とアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)』、
②体液量を減らし血圧をさげる『利尿剤』
③痛みどめの一種である非ステロイド性炎症薬(NSAIDS)
です。
この研究は
イギリスの
Clinical Practice Resesrch Datalink、Hospital Episodes Statistics
のデータを使用しています。
血圧降下薬を服用している患者さん48万7372人を対象に
調査を行いました。
![ヒヨコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/008.gif)
![ヒヨコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/008.gif)
急激に腎機能が低下することを
『急性腎不全』、この頃は『急性腎障害』
といいます。
平均5.9年の観察期間中に
2215人(1万人あたり7人の計算)の人が
急性腎障害を発症しました。
![桜](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/095.gif)
利尿剤とNSAIDS(痛みどめ)を一緒に服用している人の
急性腎障害発症リスク比は1.02
![桜](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/095.gif)
NSAIDS(痛みどめ)も一緒に服用している人の
急性腎障害発症リスク比は0.89
でした。
2剤を一緒に使用することでは
急性腎障害の危険因子とはなりませんでした。
(リスク比が1より大きいと、その危険性が高い
というイメージをもってください)
その一方で
![ブーケ1](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/052.gif)
または
![ブーケ1](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/052.gif)
NSAIDS(痛みどめ)も服用した場合の
急性腎障害発症リスク比は1.31
でした。
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/3e/9e/g/o0068007414556941380.gif?caw=800)
ややこしいですね・・・・・・。
どういうことかと申しますと
①血圧降下薬のACE阻害薬またはARB
②利尿剤
①と②を服用している人が、
痛みどめの一種であるNSAIDSも服用すると
一気に急性腎障害を発症しやすくなる
ってことです。
①を使用すると
尿を作る工場である糸球体の血圧が下がります。
そこに
②を使用すると
糸球体の中の血圧がよりさがり、
容易に糸球体が脱水状態となります。
そんな不安定なところに
腎臓に負担をかける痛みどめの成分がど~~んとくるので
あっという間に腎臓が悪くなってしまう
と考えられているんですよ。
また
この3種類の薬を使用して発症する急性腎障害は
特に
利用を開始した直後に起こることが多い
というのも今回の結果でわかりました。
①②の薬を服用している方や
腎機能が低下している方は
簡単に痛みどめを服用するのは控えたほうがいいでしょう。
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20190829/11/jinzouhakase/78/ac/j/o0102013914556941392.jpg?caw=800)
![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/336.gif)
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と聞かれそうですが、
一般的な痛みどめは、ほぼNSAIDSです。
病院で処方されるものも、薬局で売ってるものもNSAIDSが多いです。
『薬局で買う薬なら強くなさそうだから、まず飲んでみよう』
というのは
まちがい
かならず、薬剤師さんに確認してくださいね![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/319.gif)
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今回の論文は
BMJ誌1月12日号より引用しました。
(Lapi F,et al.BMJ.2013;346:e8525)
また
ご高齢の方は薬の副作用がでやすいので注意が必要です。
利尿剤はとってもいい薬ですが
食事摂取量が減ったり、
水分摂取がいつもより少なかったりするだけで
簡単に脱水状態となり、腎機能障害が出現します。
手の甲の皮をひっぱって
いつもより戻りが悪い時は
脱水かもしれません。
主治医の先生に相談することをお勧めします![ラブラブ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif)
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ちなみに・・・・・・
2010年に和泉智先生が報告した
薬剤性腎障害(薬の服用で引き起こされる腎障害)
を引き起こした原因の薬のNo.1は
NSAIDS(痛みどめ)
でした。