今日は、透析療法を受けている方に起こりやすい合併症についてお話します。
透析といっても、血液透析と腹膜透析とあり、原理は似ていますが全く異なる治療なので
合併症もそれぞれです。
抑えておいていただきたいものを少しご紹介します。
まず
シャント関連(血液透析)
出口部感染(腹膜透析)
各透析にまつわる感染症の中で、体内と体外の境界で起こるものです。
症状 シャント(血液透析)の接触部位や、出口部(腹膜透析)に赤み(発赤)、熱感、腫れ、疼痛、かさぶたが現れます。膿がでてくることもあります。
原因 シャントは、週に3回、毎回2か所ずつ針を刺すので、皮膚の常在菌などが入ったりして感染を引き起こします。
腹膜透析チューブは、皮下トンネルの部分を強く圧迫したり、チューブを引っ張ったりすることで皮下トンネルが破綻し、ばい菌がつきます。汗や皮脂などのごみを餌に、ばい菌増えてしまうこともあります。
治療法 抗菌薬などの薬物治療
ちなみに、当院の腎臓外科はその名の通り腎臓治療に関わる手術を行うプロ集団です。
透析関連のアクセストラブルや腎臓移植で心配ことがあれば、ぜひいらしてみてください。きっと力になれると思いますよ
便秘
症状 透析患者さんの約50%は、深刻な便秘に悩まされています。
腹痛、腹部膨満感、食欲不振、透析間体重増加、透析中の血圧低下、下血
原因 腎機能低下の原因に、糖尿病性腎臓病を悪化させていることが多いため、糖尿病による自立神経障害、末梢神経障害、水分・食物繊維の摂取制限、大腸の運動機能低下、薬剤の副作用などが関連していると考えられています。
治療法 一昨日もお話しましたが、運動療法・薬物療法がいいですよ。
この秋にも新しく使える薬が増えました。結構好評ですので、辛い方は主治医にぜひご相談くださいませ
眼底出血
眼球の輪切り図解:参天製薬さんのHPより
日本眼科学会のHPより
オレンジ色の網膜の部分から血がでることをいいます。
症状 視力の低下やかすみ、ごみが飛んでいるように見える、歪んでみえるなどです。
原因 網膜出血(高血圧・糖尿病や腎臓病などによる血管破綻)
治療法 外科的治療(レーザー光凝固術、硝子体手術)
薬物治療(ステロイド剤、血管内皮増殖因子、VEGF阻害剤、Rhoキナーゼ阻害剤)
糖尿病がなくても、高めの高血圧が続いてる方は一度眼科でみてもらうといいですよ。
症状がなく、失明に至る病気に緑内障などごありますが、これも検査しないとわからないことが多いです。
酷くなる前に❗❗健康チェックで眼科受診を
レストレスレッグ症候群
症状 足のむずむず感やイライラ感、ほてりなどです。置き所のない感じという方もいらっしゃいます。
原因 まだ解明されていませんが、透析不足による尿毒症状態や、透析治療そのものに関連しているのではないかともいわれています。他にも加齢、血中ドーパミン減少、鉄分不足、代謝異常、脊髄異常などいろいろな原因が考えられています。
治療法 抗菌薬などの薬物治療
透析量増加
透析膜種類の変更
薬物治療(塩酸プラミペキソール水和物、クロナゼパム、カルバマゼピンなど。
血液透析から血液ろ過透析にしてみるのもありですね。
腎癌(腎細胞癌)
症状 初期は全くありません。血尿や腰痛を契機に発見されあることもありますが、転移してからみつかることもあります。
原因 透析患者さんの腎癌8 割が多のう胞化萎縮腎をベースにしています。透析治療を開始し、ある程度の時間がたつと腎機能が全くなくなります。体にとっては尿を作ったりしないので、もはや遺物となってしまうのか何なのか。。。癌が発生してくることが少なくないんです。
定期的に検査するのがお勧めです。
治療法 外科的手術
遺伝疾患の 多発嚢ほう腎とは、違いますよ。
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