9/29(木)15:00~16:30、福岡商工会議所主催の講演会に参加し、山田オーナーのお話を直接拝聴しました。(今回で2回目)
冒頭、まず第一声!
「福岡はよっぽど暇なんだね?日中からこんなに大勢の人が参加している」
「私は現在相談役。しかし、当社では、<報・連・相>は禁止。従って、相談役の私に相談したら首になるから誰も相談に来ない。だから、私は暇なので、今日は暇つぶしに来た」
「また、他社と比較して変わったことをしているから呼ばれた。パンダみたいなものだ!」
最初のキャッチが実に上手い!!
「今、日本には265万の会社があるが4000万円以上の経常利益を上げて税金を払っているのは、上位3%の8万社。97%の会社は儲かってない。みんな成果主義とかノルマとかホウレンソウとかやっている会社ばっかり。多くの企業がやっていることをやっても儲からないのだから、反対のことをすれば儲かるはず。だから逆のことをする」
例:「良いものを安く」とよく言うが、どのようにして儲けるのか?どこも儲からない。過当競争になる。
「日本は、数年前より「人口減少時代」に突入し、しかもGDPも下降気味なのに過当競争をしていたら生き残れない。
また、日本人は農耕民族で「横並びがすき」な人種である。しかし、それではこれからは飯が食えない」
Q.何故、お金儲けをしたいのか?
1.社員に良い給料を払い、豊かな生活をしてもらうため
2.税金を払い、社会貢献したい
「繰り返すが、お金儲けをするには他社と同じことをしていては儲からない。だから、<他社と反対のこと>をする=差別化」
1.「報・連・相」禁止 *ルールを破ると就業規則違反
大企業は社員数が多いから「報・連・相」が必要。小企業は不要。
2.携帯電話禁止
3.成果主義禁止→年功序列 *優秀な者は<抜擢>
4.ノルマ禁止(目標はある)
5.残業禁止
6.全員正社員(約800人)→パート、派遣社員は使わない
パートは首にしやすい。しかし、首になる恐れがあるのに本気で技術を向上させる努力をするはずがない。しかも仕事の内容が同じであればなおさらである。→技術力の衰退へ
Q.金儲けは誰がするか?→「社員」がする
社員がこの会社のために『頑張ろう!』と思わない限り儲からない。『この会社のために頑張ろう!』と
思わせることが経営者の仕事である。
Q.どうするか?
前述の通り、「餌」=「モチ」(ベーション)をやれば良い。
Q.餌とは?→お金
しかし、中小企業ではなかなか社員が満足のいく給料は払えない。少なくとも、<まあまあ>の金額を
支給すべき(友人・同級生などと比べて、同等かそれ以上)
その他、どの様な施策を行ったか?餌の種類。
1.休日増
年間休日140日(日本一休みが多い)
例:12/20~1/10年末年始20連休
休みをもてあまして社員はアルバイトに行く。丁度、その時期は<飛騨高山>付近の温泉旅館が忙しい。副収入としてアルバイト代も入る。→社員は喜ぶ
通常他社は<兼業禁止>→当社はOK
2.コスト削減
少しでも多く給料を払いたいため、社員を休ませる。つまり、社員が出勤すると電気代、お茶代、電話代など会社負担のコストが増大する
本社(4階建て)には、コピー機1台のみ。コピー用紙は、裏紙使用。その紙は他社からFAXや郵送で送られてくる不要な用紙。
3.労働時間短縮
8:30~16:45(通常の製造業、8:00~17:00)、年間約1,600時間(日本一労働時間が短い)
4.提案制度
封を切らずに、1件につき500円支給(内容を見ると頭にくるため)。最多提案件数賞や優秀な提案には別途報奨金がある。しかも、給与振込みにせず、本人に直接現金で支給する。
5.毎年社員旅行
全額会社負担。しかも、5年に1回は海外旅行(費用:約1億5千万円)。
6.定年70歳(通常の会社は、せいぜい65歳)
しかも、60歳~70歳の定年まで給料を下げない。 *65歳の平社員で平均給与700万円
7.育児休暇3年(通常2年)
3年ごとに子供を生むと退職するまで常に育児休暇がもらえる
8.制服なし(フリー)
以上、講演録。
同社の社是は「常に考える」である。実にシンプルで分かりやすい。
目的は、「社員に豊かな生活をしてもらい、同時に、社会にも貢献するため」。
その大本は、過当競争をせず儲ける。儲けるのは社員である。社員が「不」を持たず、会社への忠誠心を保持しながら気持ちよく楽しく働いてもらうために、社員のやる気を如何にあげるかを常に考えるのが経営者の重要な役割だと山田オーナーは認識している。
正に、人を大切にするリーダーである。
追伸:少し気になるのは、「心から人を大切に思っているのか?」どうか機会があれば、お聞きしたい。