ある日 の朝のこと
ジャニーズ通りから少し離れた森の中から
陽気な歌声が聴こえてきました
森の小径を歩く一人の旅人
どうやら歌っているのはこの男のようです
♪ あるぅ日ぃ♪ 森のっなっかー ♪
♪ くまさっんっにぃ～出会った〜♪
♪ 花さっく……
不意に歌うのをやめて立ち止まった旅人は
少し後ろを振り返るようにして
耳を澄ませました
小鳥のさえずりでも聴こえたのか
フッと優しく笑うと
木々の向こうにある真っ青な空を
ちょっと眩しそうに見上げて
ポツリと呟きました
「まったく…朝から……いい天気だなぁ」
あら
准くんおはよう
今日はひとりでお出かけ？
（あ、おはようございまーす。一人じゃないよ？あの二人はほら、ここ、ここ）
准くんが親指で自分の背中を指さしました
うふふ…そんなところに居たのね
准くんお気に入りの灰色のパーカーには
大きめのフードが付いていて
なるほど、剛と健なら一緒に入っていても
すっぽり隠れてしまいます
でも…今日はなんだか静かじゃない？
（朝早く出発して来たからね。さっきまで起きてたはずなんだけど、眠っちゃったみたい）
山の朝は、まだ空気が冷たくて
フードの中は、きっと暖かいから
眠くなるのも無理はないわね
もしかして
准くん、それで歌うのをやめたの？
（…まあ…そんなトコかな）
ふふふ、相変わらず優しいのね
あら
フードの中で何か動いたみたい
どちらか目を覚ましたのかしら
「ね、ごーぉ…もう一回…」
「バーカ…いい加減にしろよ」
「…むぅ…剛の意地悪…んっ…っ…」
「…准がまた歌い始めるまでは、声我慢な…」
…… （……）
♪すたこーらー サッサッサーのーさー♪
もしかして…さっき歌ってたのって…
（…そういうこと）
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「まったく…朝から……元気だなぁ」
