【1】あなたは両親にどんな役割を求めるか  ー世話人ー | 中国語エッセイの本棚

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中心に中国のエッセイを日本語に訳すことをメインに
中国人学生との交流や中国に関することを書いています。

中国の学歴社会の競争率は

日本の競争率とは比べ物にならない。

高い教育を受けさせ、重点大学に入れたい、

そう願う親の気持ちは同じ親としてよくわかる。

 

今回の記事は

ご両親の厳しさに悩む中学生の話の返答の代わりに

何かヒントになればと渡す予定の文章を訳してみました。

 

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最近、相談室で一組の母子の対応をした。

母は眉をひそめて、子どものネット依存と勉強をしないことを

訴えてきた。

子どもは背が高く、たくましい男子学生で、彼は落ち着いて言った。

「学校に行くのはいい。スマホは自分で管理したい」

「お母さんはあなたのスマホの使用については、比較的おおらかですよ。

ただ、あなたの自制心の無さを心配しているだけです。」と私が言うと

男子学生は口をゆがめて、冷ややかに笑って言った。

「それはずっと戦って勝ち取ってきたことです。母の制限がとても厳しく

僕をコントロールするために、寝室のドアさえ取り払ってきた・・・。

子どもの母親は仕方なく笑い、頭をさげて黙った。

 

おそらくこの母親は本来は良き監督者としての役を演じたいと思ってきたが

子どもによい学習習慣を身に着けさせようとしてきたことが

却って厳しくなりすぎて、理想の結果と反対になってしまったのだ。

 

では子どもとして、あなたはご両親にあなたの生活の中でどのような役を

演じてほしいのだろうか。それぞれの心の中に、自分の答えがあり、

異なる研究や理論によって、両親が演じる役の分類の名目がさらにすこぶる多いのだ。

 

子どもの成長の違った段階で、両親は違った程度でいくつかの役を演じなければ

ならず、それによって子どもの健康的な成長をサポートできるのだ。

 

 

ー保護者ー

 

子どもが幼いとき、両親は子どもにとって一番の保護者を演じなければならない。

子どもが小学校に上がるまでは、家庭は子どもが最も熟知している成長環境であり

両親は子どもの生活すべてを世話するだけでなく、子どもが基本的生活技術を把握する

練習も必要で、良好な習慣を養い、自分の意志を芽生えさせるのである。

このように、子どもが今後学校生活になじみ、社会に溶け込めるようにするのだ。

 

保護者という単語には、スキルがそれほど含まれてるとは思えない。

しかし両親がこの役を演じることは簡単なことではない。

 

私がかつて接したある子どもは、私に対して不満を漏らした。

小さいころ彼は両親に田舎に預けられ、小学校に上がると同時に学校の寮に住み始め、

学校ではクラスメートからイジメられ、現在は人間関係にとても敏感で

人と接する際はいつも気を使っていて他人との信頼関係を築くことにとても苦労している。

 

多くの両親は仕事を理由に、子どもの面倒をみる時間がなく、

子どもを自分たちの両親やシッターさんに託す。

子どもが成長したあと、彼らは頻繁にものすごく後悔するのだ、

子どもの良くない習慣を正す方法がないことに気が付いて。

 

子どもは両親の教え諭しを聞きたがらず、逆に悔しそうに言うのだ。

「以前は私の躾をしなかったのに、今頃何を躾けると言うの?」

両親は子どもが小さいころ保護者の役を果たさなかったので、

気持ちを交わす基盤ができていないため

あとから監督者の役を演じようと思ってもそれはものすごく難しいのだ。

 

もし両親が子どものそばにいない場合、直接子どもの面倒は見られないけれど

できる限り心の距離を縮めるために、インターネットやメールを利用して

子どもの心身の成長に関心を寄せ、良き保護者役という任務を全うする必要がある。

 

もちろん、たくさんのことと同じように面倒を見ることも

過ぎたるは及ばざるがごとし。

かつて出会った高校に入学したばかりで転校を考えていた高校生ー

寮からトイレ掃除の当番を割り振られた。

家ではこの家事をすべて母親がやるので、彼女はトイレ掃除を汚くて疲れるものだと

思っており、そこで家から近く、学校の寮に住まなくてよい学校に転校したいと考えたのだ。

 

そのため、面倒をみることはことの大小を問わず、

なんでもやってあげることではなく

子どもがひとりで生きていける能力を身に着けるサポートをすることこそが

役割の重要な内容なのである。