横溢する才能 ル・スプートニク 六本木 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

高橋シェフの料理への異様なまでのこだわりと、素材や生産者への敬意と、労力を惜しまぬ仕事ぶりは、自粛中に週1ペースで配送していた料理BOXに顕著に表れていた。

ここまでやるか、という充実した内容。外食もままならぬ客の側の健康や気分にまで思いを致し、食べる者を少しでも励まそうとする行き届いた配慮に心底感動した。

この人たちは、プロ中のプロだな、と。

フレンチのテイクアウトや宅配料理となると、パテ、赤ワイン煮込み、カスレ、シュークルート、なぜだかカレーと、どの店も似てくるのだが、スプートニクのは毎回違う料理で、しかも和洋中、味覚の中で地球を自由に飛び回らせてくれる。シェフは徹夜までして作っていたというから、涙がチョチョ切れるではないか。

 

微力ではあるが、お店のあるかぎり応援していきたいと思う。

その第1回目。

相変わらず、すごい皿数に圧倒される。。。

まずは、雲仙トマトのムース。コートドールの向こうをはって、甘酸っぱくなめらかな口当たり。

ブリオッシュにのせた鴨のテリーヌと生空豆・ひよこ豆のヨーグルトタルト。テリーヌが何気に素晴らしく、10個食べたくなる。

岩手の牡蠣と長野のじゅんさいにゆず風味の牡蠣出汁ジュレ。じゅんさいとジュレのダブル・ちゅるん。爽やかなフレーバーで、初夏らしい一皿。

とうもろこしのシフォンケーキに、燻製をかけたクリームを添えて。とうもろこしの甘みが際立つ。

まるでサザエのつぼ焼き。江の島感が半端ないが、フレンチ仕様で、ハーブのソース。

野菜のテリーヌにサフランのソース。テイクアウトでも同種のものがあったが、やっぱりお店で食べるのは、目にも鮮やかで、美味しさが倍増する。

何日かかけて作る、自家製のパン・ド・カンパーニュ。皮の香ばしさと中の酸味が良いバランス。これはレストランで出すパンとして、トップレベル。

青茄子と鯵の料理。柚子胡椒のクリームに、焦がした茄子の皮もふりかけてある。とろりとした茄子のテクスチャーと、ハーブの香りに包まれた鯵が、良い相性。

日本料理屋のように活けの鮎を使っての料理。カリッと揚げて、メロンなどを添えている。

オマール海老のバニラ風味。アラン・サンドランスの現代版か。ココナッツとバナナ、ういきょうの花で香りづけ。

穴子とマンゴー、フォアグラのピーナツソース。こう書くと味の想像がつかないかもしれないが、鰻や穴子のような長物とフォアグラは合うし、トロピカルなフルーツは、これもフォアグラと合う。ピーナツソースは意表を突かれた一手。

のど黒につわぶきなどの山菜、九条ネギ、ブドウ山椒。ソースはバルサミコの風味。脂の乗ったのど黒と酸味とコクのあるソースがマッチ。

ほろほろ鳥とレンコンのミンチを花ズッキーニで包んだ物。とても優しい味わい。

ホロホロ鶏のロースト、赤と青のピーマンを添えて。

 

デザートは割愛。

全14品だろうか。この満足度は東京屈指であろう。単に量が多いというのではなく、五感に幸福が注入されていく感じ。他店ではメッタに起こらないフィーリングである。