コスパに衝撃 ici 恵比寿 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

ここはすごい店だ。

どうやって利益を出しているのか。

余程、賃料が安いのか。いや、それでもアミューズ、前菜3皿、魚に肉、デザートまで出して、税・サ込8300円ほどというのは、家賃だけでは説明がつかない。しかも、食べログによれば、恵比寿駅からわずか585mである。

 

人件費・・・、いやワンオペではなく、ちゃんと女性のサービスの方が、なにくれとなく接遇してくれる。しかも、シェフの奥さんでもないという。

 

手抜き料理、では全くない。無駄排除を励行しギリギリ削っても、大事な一線はちゃんと守っている。食材だって、それなりの物を使っている。

 

デフレ日本の象徴、など言ったらバチが当たる。ここはシェフの高徳な人格のおかげと思って、感謝しなければ。

 

コース7000円の料理を、とくとご覧あれ。

 

アミューズは、じっくり炒めた玉ねぎのミニパイ。この玉ねぎがねっとりと香ばしく、パイのバター風味とともに、食欲をかき鳴らしてくれる。

10個食べたい。

ジャガイモのムースリーヌとオマール海老、そのジュレ。このコース価格で、オマールを出す気前良さ。ジュレにはちゃんと海老出汁のコクがあり、滑らかなムースリーヌと合わせて、経歴の確かさが伝わってくる。

ホタテのポワレと空豆のピュレ。半生にも色々あるが、ホタテの甘みを引き出すミキュイは、腕がいる。これは実にいい感じの火入れ。

空豆とあしらいの緑も目に心地よく、食べて良し。

ドイツ産ホワイトアスパラとアオリイカのブルギニヨンソース。名残のドイツ産をちゃんと使っているだけでも偉いのに、合わせたのはアオリイカ。品の良い仕立てのソースで、ちゃんとレストランの料理になっている。

鮎のパイ包み焼き、キュウリとハーブのソース。ここで、何と鮎でパイ。同種の料理を出す「ラチュレ」のような手の掛け方はできないものの、1人調理で、この値段で、よくぞここまで、というレベル。

フランス・シャラン産鴨のローストと鴨のパテ、マデラ酒のソース。ここでもちゃんとシャラン産。きれいな火入れ。ソースは基本に忠実で、ガルニまで申し分ない。鴨がもう一枚あれば、などと卑しいことすら思い及ばない。

写真ボケて失礼。デザートも手抜きなし。モワルー・オ・ショコラ、ヴァニラアイスとチェリーソース。ショコラのレベルも高い。最後まで気の抜けたところのないコースであった。

 

このブログのコアな読者は、せいぜい5人か10人だろうが、その皆様にお伝えしたい。

ぜひ、この「ici」に行かれますように。

くだらない料理で1人2万も3万も取る店がウヨウヨある中で、ここへ行けば、きっと心と胃袋が洗われるでしょう。