過小評価の店、と言ってよいだろう。
長らく「写真禁止」にしていたせいで、ネット・フーディーから敬遠された。
その結果、口コミで話題にする人があまりいなくなった。
もったいない気もするが、しかし、その間にSNSとは関係のない客がついたのだから、店にとっては良かったのかも。
京都「和久傳」で修業した腕はしっかりしていて、良い素材を、余計なことをせずに直球で出してくる。
口コミなしでも集客できる、実力派である。
料理は3月某日のコース。なごりのズワイガニの飯蒸しが先頭バッター。カニみそをまとった身がほんのり温まることで、甘みが増す。
手前から時計回りに、タコの子、タコの柔らか煮、アンキモと奈良漬にモナカの粉をかけたもの。酒が無限に飲めるセット。
唐墨うどん。特に工夫もなく、似たような料理を出す店も多いが、とにかく食うと美味い。それでいいだろう。
鯛、ナガスクジラの尾の身、メジマグロ。メジがずば抜けて良かった。
すっぽんのお椀。見えにくいが、各部位のすっぽんの身がゴロゴロと入っている。もはや小さな丸鍋。
甘鯛の焼き物。皮目パリパリ、中しっとり。緑と白のアスパラと食用ほおづきがおしゃれ。
店の看板メニュー「うになす」。揚げた茄子に、うにをたっぷりのせて、たれをかけるだけ。しかし、この旨さに抗える人はあまりいないだろう。
鹿児島の筍にワカメの若竹煮。修行の確かさがにじみ出る料理。
フグ唐揚げと天ぷら。
わかりにくいが、鰻たっぷりの炊き込みご飯。
まっとうに、まっすぐに美味しい割烹料理。
予約も取りやすく、おススメである。