信頼できる食トモがリピートしているのを見て、どんなものかと思って訪ねた「アン・ファス」。
詳しいことはあまり知らないし、てんてこまいの店主と話す時間もあまりなかったが、5年ほどフランスで修業した人らしい。
ユニークな風貌で、美味いもんを出しそうな体型(失礼)。意外にもスタイリッシュな内装。
入店してすぐに期待が高まる。
そして隣の先客を見て、おののく。
量が、多い。
いや、私もたいがい大食いなので、ポーションが多い方が嬉しいのだが、ここのはまるで、高田馬場の「ラミティエ」を思い起こさせる、圧倒的なものがある。
ただ、こちらも若者連れの3人なので、「まあ、結構いけるだろう」とオーダーに挑んだが、店主から「無理しないでください」とたしなめられる。
結局、頼んだのは、アラカルトで3品のみ。
食べ進むにつれ、4品目を頼まなかった自分を褒めたたえたくなった。
いや、久々に参りました。
写真では量が伝わりにくいが、山盛りのパルマハムと下にはリンゴ。スライサーで薄くカットしているので、スルスルと入っていくが、それでも中々減らなかった。
シャルキュトリーの盛り合わせ。まず、鴨のリエットが暴力的な量。白レバーのテリーヌは丁寧な仕事。ブーダン・ノワールは豚舌や耳などを入れるスタイルで、すこぶる美味い。パテ・ド・カンパーニュは無骨で昔風の造り。
これを3人でやっつけるまでには、そこそこ時間がかかった。
メインはご自慢のカスレ。豚バラを巻いたもの、ソーセージ、鴨腿、そしてモツ類などがどっさり入っている。
隣のご夫婦風の2人にも同量のカスレが出ていたが、完全に打ちのめされていた。
食っても食っても減らない鉄鍋の中身が、我々の胃袋をどんどん占拠していく。
まさにボディーブロー。どうにか気力で完食。
とはいえ、デザートは別腹。タルトタタンは、見事なまでのクラシックスタイル。真っ直ぐに美味い。
風体に似合わず、おいしいデザートを作る。
量も味も、フランスの地方の旨いモノ屋を彷彿とさせるものがある。
次回はロースト物を食してみたい。