高いチーム力 ラチュレ 渋谷 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

重要リピート先と私が位置付けているフレンチの一つ。

ここ「ラチュレ」は、何と言っても、カウンターに陣取るに限る。

広くはない厨房が丸見え。その中で、一糸乱れぬ組織力で料理を仕上げていく若い人たちの働きぶりを見るのは、何とも楽しい。

もちろん、怒鳴り声もパンチもキックもなし。

客がいない時はどうだか知らないが。

要(かなめ)は、寡黙そうにみえるスー・シェフの存在だろう。

いかなる状況になろうとも、顔色を変えない。慌てず、休まず、淡々と、黙々と、料理を仕上げていく。

一度見に行かれることをおススメする。

 

アミューズは、コロン(懐かしい響き)。猪のリエットに、赤ワインで煮たプルーンと芋マッシュ、シブレットを薄いパリパリ皮に詰めている。

一口だが、大変おいしい。

千葉・富津の江戸前牡蠣にゆずジュレ。東京湾でも牡蠣が取れるんだな、という感慨はあるものの、味的にはこれからか。

本日のスマッシュ、一発目。キジのビスク。これ、香り、強烈。クサヤ的な奥深さとパンチ力。あれこれ砕いて、ドロリとした状態で、キジのエッセンスを飲み込む感じ。むしろ白ワインが合ったのが面白かった。

  鯵の皮目を焼き、 黒ニンニク、バルサミコ、ふきみそ、卵黄と和えたフレンチ風「なめろう」とアスパラガス。パルメザンのチュイルに鰹節ならぬ「鹿ぶし 」をちらしたもの。ハーブのオイルまで良く考え尽くされた前菜。

穴熊ベーコンのサラダ。リコッタチーズのクリーム添え。ほとんど脂の穴熊だが、しっかりスモークすると悪くない。

ご自慢のパテ・ショー。猪・穴熊・熊・鹿のミンチに、フォアグラ、トリュフ、鹿のヒレを挟んでパイ包み。薄くサクサクのパイと肉、それにマデラソースの相性が抜群。嘘偽りなく、おいしい。

千葉県で採れた国産のヤマシギ、ベキャスのサルミソース。非常のキレイな身質で、新鮮なものかと思ったら、なんと1か月も熟成させているのだとか。香りはほのかながら、レバーに至るまで旨みは詰まっている。これは、マイ・ベスト・ベキャスだ。

「バイキンマンがモチーフ?」と言ったら、違います、と完全否定されたイチゴのデザート。

入口のすぐそばの席で、普通なら忌み嫌うところだが、この店ではなんくるない。

通う価値のある店である。