王道フレンチ シャントレル 代々木八幡 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

ちょいちょい行っていたのに、パタッと足が向かなくなる。

そんな店がたまにある。

料金とか、料理の量とか、スタッフの入れ替わりだとか、そんなことが原因でしばらく行かないと、改めて再訪する踏ん切りがつきにくくなる。

 

この「シャントレル」もそんな一軒で、何年かうかがわぬままとなっていた。

にもかかわらず、何やら封筒に入った書状を頂戴してしまったので、これは行かねば、と意を決して代々木八幡まで出向いたしだい。

 

久しぶりの訪問だったが、相変わらず基本に忠実で、素材を尊重した丁寧な料理。クラシック・フレンチが好きな方には、強く勧められるお店のままであった。

アミューズは、定番のキノコのトーストと、青レンズ豆のハンモス。

これも定番、キノコのスープ。季節的にキノコ品薄の時期だったためか、やや薄め。

蛤のベニエとふきのとうのフリット。黄金柑をレモン代わりに。酒が進むおつまみ。

3日ほど塩をした秋田の大きな鰆。人参生姜ソースで。上には赤キャベツ、周りは各種根菜などで。

鰆の質が高い。それをうまく活かす腕前。

青森のオスのやりいかのサッとポワレ。上には芹、下には掛川の甘酸っぱいトマトのソース。

アラミニッツでの提供で、シンプルながら、素材の持ち味を引き出している。

河豚の白子のポワレ、ブールブランソース。とろける舌触りの白子を、基本のソースで食す。妙なことをせず、ど直球の勝負。

川俣シャモのフォンで煮たゴボウの料理。トリュフの下には、ポアレしたフォアグラ。ゴボウを楽しむために考えられた料理。トリュフとフォアグラが派手に見えるが、味わいは素朴。

金目鯛はキャベツと店名と同じ名前のキノコ、シャントレルを添えて。ソース・ヴァン・ブランと、これまた王道のソースで。

こういう基本のソースは、腕の差がはっきり出る。だから、若い人ほど怖くてやれないのだろう、と思っている。

メインは、ブレス鶏。ブレゼして、皮目をパリッと焼いたもの。鶏出汁に、茶色く炒め上げた甘い玉ねぎ、筍を添えて。

これまた、いたってシンプル。だけど、「うまいなあ」とつぶやきが突いて出る料理。

 

河豚の白子はオプションだが、それ以外はコース内。これで1万円は高いか安いか、適正か。

私は妥当、かつ、まっとうだと思う。