休みで利用するホテルや宿で、期待するものの一つは朝食だろう。
バイキングが主流だと思うが、食材や調理法まで吟味されたバイキングというのは、なかなかないものだ。
好きなものが選び放題、ではなくても、やはり一品一品しっかり手をかけて作られた朝食に勝るものはない。
京都の山の中のお宿、美山荘の朝食は、一言でいうなら、素朴。
その季節のあるもので、ちゃんと作りました、という朝ごはんだ。
真冬の2月はこんな感じ。
赤かぶ、セリ、シイタケのゴマ和え。味加減が上品で、素材の味わいを殺さない範囲で抑えてある。
丸大根の柚子味噌がけ。何気ないが、野菜の自然な甘みがしっとりしていて、ジワる料理。
福井のへしこ。ご飯もお酒もススム君だ。
何ということのない、野菜とお麩の炊き合わせ。これが抜群のおいしさ。キャベツの甘いこと。出汁の沁みたお芋とお麩の、何と滋味深いことか。これは写真ではほとんど何も伝わらない料理だ。
ご飯セット。味噌汁はお豆腐とねぎ。漬物は小松菜、紅芯大根、ふきのとうの三種。
おかずに菜っ葉と揚げさんの炊いたん。
これぞ日本の朝ごはん。都会で汚れた舌が浄化されるようであった。
ちなみに、この美山荘、連泊する人用にお昼ごはんも出してくれる。
「なんにもありませんけど」と繰り返し前置きして出してきたのが、これ。
鴨とネギたっぷりのうどんと、鯉とのびるの酢味噌和え。
これで、何にもないんだ・・・、と恐れ入るばかり。