地産地消…なの? 柳家 岐阜 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

2019年最後の記事は、食べログ4.60(執筆時)、「2019GOLD」の称号を持つ岐阜は瑞浪の「柳家」。

名古屋から在来線で1時間ほど。さらに瑞浪駅から車で2~30分というアプローチ困難な立地にありながら、国内トップクラスの予約至難店、だそうな。

食べログにアップされた写真は、なんと1万3千枚以上(執筆時)。異様というか異常な人気ぶりである。

そのトップ画面のコピー、「囲炉裏を囲んで饗される”野生の宴”。季節を食する、唯一無二の存在感がここにある」、のだとか。

 

そんなこんなに煽られて、行ってみました瑞浪へ。

 

どこぞから移築されたというお店。古民家、と呼ぶにはいささかモダンな印象も。

このような囲炉裏個室で食事をする。昔ばなしの世界にタイムスリップ、という舞台装置が都会人の心を揺さぶるのだろうか。

食べログ人士がこぞって絶賛している蜂の子。本当に、どうということはない、長野あたりで普通に食べられる味だ。

まずは、どでかいサイズの子持ち鮎。岐阜・和良川で採れたもの。

このようにして炭で焼くのだが、当然ながら焼きムラがあるし、火通しとしては大雑把となる。

食べ応えはあるのだが、骨はあたる。正直いって、感動するほど美味いものではない。

ホウライ鱒の刺身。長野県のワサビの質はとても良い。が、このあたりから地産地消?と疑問に感じ始める。

「お客さんたちは、運がいいですね」と言われて出された松茸。近隣の山からかき集めてきたそうだが、香りは弱い。

「思えば遠くへ来たもんだ」とひとりごちたくなるような漬物、ではない。ごく普通の浅漬け。

ご自慢のジビエ。

熊本県のイノシシ。なぜに熊本かといえば、豚コレラ汚染で岐阜のイノシシは撲滅作戦に合ってしまったから。

ならば、出さなくてもいいのに。

熊肉。これは岐阜のもの。ただ、筋張っていて、脂が少なく、滋味や野趣に欠ける。

まさかの蝦夷鹿のロース焼き。えーっと、唯一無二、じゃなかったの?

不味くはないけど、なぜにここで蝦夷?

再び熊本のイノシシを使った牡丹鍋。

ジャンボなめこなど、「市販?」とおぼしき食材がいろいろ。

そりゃそうだよな、昼夜ともに何十人もが連日押し寄せ、バクバク食っていくんだから、近隣の天然素材だけでまかなえるはずがない。

ここは、地産地消風、田舎風、古民家風、猟師風のレストランなのだ。立派に成功しているビジネスに他ならない。

そう考えれば、取るに足らない料理の数々にも納得がいく。

ならば、わざわざ新幹線に乗ったりしないでも、東京の人なら青山の「たでの葉」あたりへ行けば、時間とお金を相当セーブできるというもの。

 

とにもかくにも、食べログ族たちは、モノを食う時に、何を考え、何を味わっているのだろうか?

ほぼ全員がベタ褒めしているレビューを流し読みするだに、ざんねんな気持ちしかわいてこない。

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今年もご愛読、ありがとうございました。

どうぞ良いお年を!