去りゆく佳店 ドゥエ・リーニュ 四谷三丁目 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

好きで通っていた店が廃業するのは、何とも切ない。

気の許せる間柄の行きつけがなくなる喪失感。

残念とも、悲しいとも違う、言い難い感情が心にしこる。

 

この店の場合、経営難が理由ではない。

40代のオーナーシェフが、次のレベルに上がるための、発展的解消である。

それゆえに、一層、「なんで?」とも「辞めるなよ」とも言えない。

頑張って、立派になってな――、そう祈るのみだ。

 

自家製のハムで巻いた白アスパラ。昔はフランスの生ハムを枝で買って、客前で削っていた。それからすると、随分と進歩したものだ。このハムは本当にうまい。

鯛の子と空豆の冷製。鯛の出汁がいい。

フォアグラのテリーヌに黄金柑を差し込んだもの。個人的には黒豆のバージョンが好き。

この店風のカプレーゼ。トマトのムース、国産のモッツァレラ、トマトのジュ。シェフの思想が反映されている。

焼きナスと海の幸てんこ盛り。どでかいタイラ貝などは、安くはないだろうにね。気前がいい。

鯛のロースト、ブールブランソース。付け合せは、ウルイの大きくなったもの。フレンチの基本はしっかり外さず、遊び心も程よく入れ込んでいる。

プッタネスカ。インスタ映えしないけど味は良いパスタを作らせたらピカイチの腕前。

シャラン産鴨の炭火ロースト。焼きのテクニックは円熟の域。

 

8月の閉店で、「ドゥエ・ロス」を痛感するんだろうな。