一見の客も手厚くもてなすが、リピート客はさらに大事にしてくれる店だ。
客のデータをきちんと残し、何の料理を食べたかを把握。
なるべく同じものを出さないように、と心がけてくれている。
1日一組なら容易だろうが、いろいろな客が入り乱れると、誰に何を出すかで、厨房はてんやわんやになるそうだ。
サービスの人ですら、次に出る料理を聞いても、「うーん、まだ分かりません」というほど。即興詩人の世界である。
客ごとにストーリーを作ってくれるコース料理。他店では、なかなかないだろう。
熟成アマダイの一口前菜。これは定番。
マグロのトロを海苔を使ったパリパリ生地で巻いたもの。これは初めて。
フランスの豚の血で作ったブーダンとチュロス。
サンマのマリネと柑橘のジュレ、ウイキョウの花。
甘エビに柑橘、焼きナスのムースに、甘海老の出汁をはったもの。
青首鴨のガランティーヌ。とてもクラシックな味わい。
香箱蟹のキッシュ。
ゆず釜に入ったゆずのスフレに厚切りのフォアグラポアレをずぶっと刺したもの。
ゆずのドライアイスをかけて完成。
大きなセップの笠の上に極薄のバターパンをのせたもの。
白子のフランに白子そのものと白子の泡。
天然舞茸とポーチドエッグ。
ムール貝とかぼちゃのニョッキ。
ざっと数えただけで、アミューズからデザートまで16皿。
しかも中盤はそこそこ食べごたえもある。
華やかだが、クラシックに寄った料理も多い。
フレンチ好きには、たまらない店であろう。