9月に日本列島を襲った強烈な台風21号。
北山杉で有名な京都の山林も、無惨に蹴散らせれていた。山肌を倒木が覆い尽くすようで、その姿はまさに死屍累々というべきものであった。
そんな山道をノロノロと進みつつ、花背にある「美山荘」まで出かけたのは、9月の連休のこと。
「3日前に、ようやく電気が通りました」と美人女将が苦笑するのを聞き、台風の爪痕の凄まじさを思い知らされた。
そんな大災害にもめげず、平時と変わらぬ丹精籠った料理を食べさせてもらった。
前菜。枝豆、銀杏、川エビなど。
抜群においしい白みそ椀。タネは、小芋をもち米でくるんだもの。
花背の清流でしばらく活かした鯉の造り。清水に洗われた身は、澄み切った味わい。
やまどり茸(ポルチーニ)と京都の豚肉に花山椒を入れた炊き合わせ。
松茸。共食い感が・・・。
サバ鮨。いにしえの鯖街道に思いをはせるには絶好の場所で、現代風の締め方も絶妙なサバにうっとり。
キジとマツタケ、蕪の煮物。キジが滋味に富み、出汁も素晴らしい。
子持ち鮎のタレ焼き。たぶん、今までで初めて、子持ち鮎も悪くないな、と思わされた。
天然舞茸と自然薯。稀なる山の幸を、ありがたくいただく。
アマダイのご飯。
この栗の菓子が、たまらなくうまい。
早く元の山に戻ることを、祈るばかり。