新橋の雑居ビルの上階にあり、その道のりに高級感は全くない。
店内もこざっぱりしていて個室などもなく、接待に向く店でもない。
しかし、出てくる料理はどれもハズレがなく、時々は新たな発見もある。
なのに、場所柄のおかげか割安。
ミシュラン東京版がこの店に一つ星を授けているのは、珍しいファインプレーである。

バイ貝のおひたし。
なにげないが、良い味。この種のおひたし系は、いつも優れている。

岸和田のイワシともろ味噌の和え物。
イワシのモノが良く、大葉や味噌の微妙な加減がちゃんとしている。

お椀は、はも真丈。吸い地が濃いめなのは玉にきず。

造りは、鯛の昆布締め、めじ、北寄貝。値段の割に、充実した内容。

天然鮎。

シンコの天ぷら。初めて食べたが、割とふっくらして、肝の苦みも心地よい。
北海道の糖度が高いトウモロコシも抜群。

レンコン餅とウニ。青のりの風味も利いている。

これがびっくりの締め。天然ウナギともち米玄米のぞうすい。
穀物のほのかな甘さと、ウナギの滋味ある脂が出汁へとつながり、混然一体の妙味。
いや、驚くうまさであった。もう一度、お願いだから食べさせてほしいと、懇願したくなる。
試したことはないが、すっぽんにも自信があるのだとか。
地味ながら、多彩な仕事が期待できる店である。