今どき珍しくアラカルトが充実している。
加えて、コースでも料理内容を柔軟に変更してくれるおおらかさ。
シチリア帰りの経歴は伊達ではないようだ。
一見の客にも、分けへだてのない対応ぶりも、好感が持てる。
カジュアルにみえる雰囲気だが、料理に手抜きはなく、ハズレが見当たらない。
人気は長く続きそうだ。

突出しは、新玉ねぎムース。トマトジュレとうに、それに ハートの葉っぱのせ。
良くありそうな料理だが、ムースがしっかり甘く、ジュレにちゃんと酸味があり、ウニの質がそんなに悪くない。

琵琶湖の稚鮎にケッパーとオリーブのソース。
パンチのある味付けで、食欲がかきたてられる。

真鯵のカルパッチョ。ディルと西洋タンポポに乾燥オリーブのパウダーでアクセントをつけている。

看板料理、じゃがいもとトリュフのタルトタタン。 炒めた玉ねぎにサクッとキャラメリゼされたパイ生地が甘みをリードし、パルミジャーノのソースでコクと塩気をプラス。トリュフのアイスが意外な冷たさと食感を加えている。ややガチャガチャした料理だが、こういうのが好きな人は多いだろう。

パスタはマッケローニ。サルシッチャにトマト、ルッコラ、それと羊のペッコリーノチーズ。

メインには子牛のすね肉の白ワイン煮。
素朴に見えるが、実によく作ってある。
ああ、イタリア料理食ったな、と思える肉料理。
最近、メインが肉のローストばかりのイタリアンが多いが、こういう店を見習ってほしいものだ。
値段はそれほど安くはないが、また行って、腕前のほどを確認したいと思わせる店であった。