充実の1万円コース うを徳 向島 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

衰退する東京の花街の中で、まともに実体がある向島。
百花園のすぐそばという立地ながら、やけに評判がいい寿司屋「うを徳」
のこのこ出掛けてみて、人気の秘訣が分かった。
寿司屋にしては気の利いているツマミ類と、1万円ポッキリなのに食べごたえのあるおまかせコース。
都心の店と比較すれば、割安感は明確である。

ただ、ご主人は京都の割烹「やました」で修行をしたというが、お椀の味付けは大変濃く、京料理というよりは江戸料理である。お世辞にも垢抜けているとはいいがたい。

寿司もシリアスに食べこんでいる人には物足りないだろう。
小ぶりな握りは、花街特有なのだろうか。お姉さんでも食べやすいようにしているのは、神楽坂のいくつかの店と共通している。
シャリはあっさりしていて個性が強くなく、総じて万人好みの仕事であった。




初手に、京都の湯葉、長野の松茸、山形の菊のおひたし。

藁で炙った対馬の鰹は、ニンニク醤油で。

からすみ餅。焦げ方が家庭的なのがかえっていい。

明石産のタコ。

東京湾の穴子と三つ葉、ゴボウのお椀。京料理のお椀というよりは、江戸風のお吸い物という感じだ。

東京湾のヒラメは生と昆布締めの2種。

鹿児島・出水産の鯵の酢締め。脂が実に濃厚。

長万部のつぶ貝。

天然うなぎの白焼き。1万円のコースで、よく出せるものだ。

握りは、まずスミイカ。

キンメダイ。

鯖。

中トロ。

明石の鯛。

コハダ。

大阪湾のイワシ。大変美味。

穴子。

つまみは、写真以外にも数品出たが、撮り忘れた。
1万円でこれだけ食わせてくれたら、誰も文句はないだろう。
都心の店では、コスパはかなわない。

近所にあれば常連になりたい店だが、しかし東向島では難しい。
アクセス難を乗り越えてでも再訪したくなる、というほどの店ではない。