郷土料理でも、トスカーナやシチリアのなら、いくつもあろう。
しかし、ローマ料理となるとどうか。
ラッツィオ州やその界隈の土地の料理を真面目に出してくる店というは、この「ダル・ビルバンテ・ジョコンド」以外に聞かない。
この9月にも、スタッフはローマ周辺へ出向き、本場の味を追い求めたのだとか。
研鑽を積むことに余念がない。
この一点だけでも、信用するに値する店だ。

二度目となるポルケッタ。
前回と違い、ポルケッタの本場に出掛けて食したという、ウイキョウ抜きバージョン。
ローズマリーは変わらず利いているが、よりシンプルに豚の香りを楽しめるような気がする。

うずら豆と豚皮の煮込み。
豚皮のコラーゲンと、豆のねっとり感が混然となって味蕾にまとわりついてくる。
素朴だが、抜群にうまい。

旬のポルチーニのオムレツ。
シンプルだが、王道の食べ方。

こちらはキノコをあれこれ入れたパスタ。

続いて、タコのラグーのパスタ。
これもローマの西に広がる海辺の街で覚えてきたものらしい。

定番のローマ風トリッパ煮込み。
とろりとよく煮えたハチノスが、なんとも言えない。
店が目指しているものが何なのか、これを食べると分かるような気がする。
大変親切なサービスと大真面目なローマ料理。
この店にいる間、何一つ嫌な思いをすることはない。
しいて言えば、ついつい飲み過ぎてしまうことが難点か。