早くもその仲間入りが始まったのではないか、というくらい私の物忘れはひどくなってきた。
年末年始の旅行の記憶が、あっという間に薄れてしまい、食った料理、店の名前などをポロポロ忘れ始めてしまっている。
だからこそ、このブログに書き留めているのだが、それも仕事が多忙で最近はままならない。
困ったものである。
2014年最後の日の晩飯は、ローマ人ご推薦のトスカーナ料理店「パパ・バッカス」に参上した。
続けざまのローマ料理に口が疲れ、ちょっと一呼吸置きたかった、という理由もある。
とにかく、うまいビステッカを目がけて、店に向かった。

前菜、肉の盛り合わせ。
ローマ風と違って、変化があり工夫がある。
特にソプレッサータ(豚のいろいろ部位を寄せたパテ)がいける。

寒い夜だったので、リッボリータを注文。
野菜の味が濃い。そして日本のよりも、さらに重い印象。

トスカーナ料理店なのに、カルボナーラ仕立てのパスタを注文。
次のビステッカのことを考えて、一同、フォークの動きが鈍る。

真打、ビステッカ・アラ・フィオレンティーナ。キアニーナのTボーンステーキ。
香ばしくも、肉々しい香りがテーブルに漂う。

ノリのいい女性が、やや危なっかしい手つきで肉をさばく。
各自の皿に分けてもらった肉には、たっぷりのオリーブオイルをかけ回す。
植物的でフルーティーなオイルが、牛の脂と血の味にマッチする。
草を食って育った赤身の肉を、ばくりと頬張り、わっしわっしと噛みしだく。
肉汁とオリーブオイルが混然となって、舌を覆い尽くす。
うめえな、と呻きたくなる肉であった。

寒風の吹く夜の街をぶらぶらし、ちょうど年越しのタイミングで旧市街の中心へ。
叫喚と酒に浸された群衆にもまれる。
悪くないゆく年くる年となった。
思い返せば2013年~14年の年越しは、マドリッドのレストランで自分史上最大のぼったくりにあって青ざめていたっけ。
そんな事件がなかっただけでも、良しとしよう。