




好きで通っているイタリアンの1軒です。
銀座三丁目という立地にあって、良質のコース料理を割と値頃で出してくれます。
元エノテカ・ピンキオーリのスタッフの店だけあって、ワインへのこだわりも相当。その一方で、持ち込みにも寛容に対応してくれたりもする柔軟性に惹かれております。
そんな「クロディーノ」がな・な・なんと、神楽坂の毘沙門天前に2号店を出したそうで。
神楽坂は「フレンチ烏合の衆の街」とはいえ、イタリアンのライバル店もいろいろあります。
価格帯やタイプが似ている「ディリット」なんかとは、競合するでしょうね。
新規出店も閉店撤退も多い神楽坂。うまく軌道に乗せられるのか、真価が問われます。
さて、そんな2号店よりも、まず本店の繁栄が大事でしょう。
先日の訪問では、料理の独創性に少々陰りを感じたしだい。

前菜は、鴨いろいろとイチジク。
ローストとスモーク、それに濃厚なグレープジュースのジュレをまとったフォアグラが入っています。
料理としては無難なまとまり。ただ初手にこれがくると、ワインに困ります。

続いて、魚はアマダイ。下には煮たういきょう。
アマダイの上には、食用ほうずきの中身を塗り付けています。
とても繊細な味付けに、ほうずきの心地よい酸味と甘みが加わります。
ただ、見た目通り、これもやや無難か。

パスタその1は、ウニと牡蠣のビーゴリ。
ウニを溶かし込んだソースが濃厚で、ムチムチとしたパスタと良く絡みます。
牡蠣を加えたことで、味の複雑さ、食感の変化がプラスされ、悪くありません。

パスタ2皿目はキノコのタリアッテーレ。
ポルチーニ、ジロールなどのうまみが、細麺に良く染み込んでいます。
ただ、秋のメニューとしては定石の一手、という感は否めません。

メインは、イチボのロースト。
とても無難な一皿です。焼き方も上手だし、付け合せにも不満はないですが、さりとて記憶にも残らない牛肉料理。
牛肉信仰が厚い日本人相手ですから、よかれと思って出してくれているのでしょうが、もっと遊んだり、はみ出したり、予定調和を崩してほしいものです。
全体的に、ハズレはないものの、面白みも足らない構成になっているように感じました。
もう少し、料理人の個性を前面に出した方が、リピーターには良いような気がします。
2号店の影響で、銀座の力が削がれないことを祈念するばかり。