ラトラス 神楽坂 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

勝負デートにぴったりの一軒家フレンチ。料理は万人向きですし、サービスもしっかりしています(ちょっと堅苦しいけど)。キャビアを含む高額コースがあったりして、ちょっとバブリーな雰囲気もあり。80年代に輝いていた昭和の人の心にも響くかもしれません。
★★★★☆



多くは有象無象ですが、フレンチの店の数だけは多い神楽坂。
その中にあって、クオリティーでは頭一つ抜けている存在が、この「ラトラス」でしょう。
お店のウェブサイトでは「閑静な住宅街にひっそりと佇む」とありますが、この立地にしては、かなりの高価格設定です。それでも客が来るのですから、立派なものだと思います。

この店でメニューをみていて、いつも気になるのが、「MENU CAVIAR」という最高値(サービス料込だとほぼ2万円)のコース。途中で、25グラムのキャビアとブリニスが出てくるようです。
かのヘミングウェイによると、「本当にカネを払う価値があるのは、キャビアとシャンパーニュだけ」だそうです。いつか出世したら、オレもここでキャビアコースを、と毎回野心だけを無駄に燃やしております。

さて、そんなラトラスの(キャビアなし)コース料理。


まずは軽い前菜。
ライム香るスープ・ド・ラフランスとイベリコ豚生ハムのエスプーマ。
エスプーマは若干旬が過ぎた手法かもしれませんが、泡には明確なハモンの香り。
洋ナシの甘みと合わないはずがありません。良く出来た冷製スープです。


続いてもよくあるプレゼンテーション。今度は煙です。

片面を軽く炙ったカンパチのトリュフマリネと根セロリのレムラード、卓上スモーク。
テーブルがスモークの香りにつつまれ、食欲が刺激されます。
このカンパチ、天然とは思いませんが、けっこう質が良い。フュメされてもトリュフェされても、負けてません。


続いてはクラシカルな料理。
フォアグラコンフィとブーダンノワール、リンゴとリュバルブのコンポート。
正直言って、フォアグラはなくてもいいから、ブーダン2つちょうだい、という気分でした。
それぐらい、ブーダンが良い出来栄え。血の香りと脂の加減が絶妙でした。


魚料理は、オマール海老のヴァプール、ビスク・ド・オマールソース。
中途半端にフランス語をカタカナ表記するのは、あまり関心しません。
「蒸しオマールとその出汁がけ」にしろとは言いませんが。
この料理、ビスクが良く詰まっていて濃厚。レンズ豆を入れているのも好感がもてます。
日本人の誰もが、フランス料理を食っている、という実感がわく一皿でしょう。


メインは和牛サーロインの岩塩包み焼き

ソースはポワブレード。
付け合せの野菜は、シェフたちが秦野で作っている(委託?)そうです。
和牛の方は、サシがみっしりと入っていて、結構食べ疲れしました。
もうちょっと赤身よりの方が良いような気もしますが、お客しだいですかね。


デザートもクラシック。タルトタタンとタイム香るバニラアイス。
久々にタルトタタンを食べましたが、甘酸っぱさが明快で気に入りました。

量もたっぷり、素材はどれも申し分なく、シェフの腕もかなりなものです。
接待で使うにはかわゆすぎる内装ですが、負けられない勝負デートにはぴったりでしょう。
キャビアコースなら、きっと落ちるはずです(笑)