




ワインと肉をウリにするビストロは、銀座に何軒くらいあるでしょうか。
新店ができるたびに、ネタに困っているメディアが寄ってたかって宣伝した後、ポイと捨てられて埋没する店が多いように思います。
そもそもテナント料が高い土地柄ゆえに、本来の強みであるはずの「安さ」が封じられるわけですから、ビストロには向かない街なのでしょう。
この店「ル・ヴァン・エ・ラ・ヴィアンド」は、目下のところ値段では健闘しているようですが、リピーターを生み出すだけの魅力には乏しいと感じました。
まず、メニュー構成に問題があります。
前菜の多くが冷製のもので、しかも似たようなものが多い。
シャルキュトリー系と肉のテリーヌ、魚もサーモンやイワシのマリネと、冷たいものの揃えはそこそこあるのですが、それらを盛り合わせたおススメサラダを頼んでしまうと、他に選択肢がなくなってしまいます。
「温かい前菜は?」と店員にたずねると、「ハチノスのグラタンくらいですね」との返事には参りました。
ただ、そのグラタン、値段の割に味は悪くはありませんでしたが。
さらに困惑したのは、料理の量。
店員は「うちは多いですよ。そんなに食べられませんよ」と注文を減らすように促すのですが、出てきてみると、全然多くない。この種の「多い多い詐欺」の店、最近増えてませんか?
さらには、メインで1人1皿頼んだはずの150グラムのステーキを、あろうことか2人で1皿に減らしてしまってので、さあ大変。大の男が、たった75グラムの肉で、どう満足せい、というのでしょうか。
店員氏いわく「付け合せのポテトフライが多いので・・・」とのことでしたが、だからといって肉を減らしてしまうというのは、本末転倒。店名が泣こうというものです。
仕方なく追加で肉料理を注文したら、「時間かかりますよ」とのお返事。呆れてものも言えませんでした。
銀座でわざわざビストロなんぞをやっている理由は何なのか。
来てくれた客に、安くて美味いものを腹いっぱい食わせてやろう、ということではないのか。
それを、「食うな、頼むな、時間がかかるぞ」と客の食欲を抑制するのなら、飲食店で働くな、と言いたいです。
そんなに広くない店に、サービスの人が3人もいましたが、ワイングラスが空になっても全然気づかず、手をあげて大声で呼ばないかぎり、客席を見ません。私語をぺちゃくちゃやっているのも、気になりました。
メディアへの露出がなくなれば、おそらく淘汰されていく1軒だと思われます。