ル・ヴァン・エ・ラ・ヴィアンド 銀座 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

仏語で「ワインと肉」というひねりのない店名が示す通り、ごく平凡なビストロ風のお店です。さほど肉にこだわりがあるわけでもなく、ワインリストがすごいということもありません。店員のテーブルウォッチがなっていない点だけが、妙に「本場風」でした。
★★☆☆☆


ワインと肉をウリにするビストロは、銀座に何軒くらいあるでしょうか。
新店ができるたびに、ネタに困っているメディアが寄ってたかって宣伝した後、ポイと捨てられて埋没する店が多いように思います。
そもそもテナント料が高い土地柄ゆえに、本来の強みであるはずの「安さ」が封じられるわけですから、ビストロには向かない街なのでしょう。

この店「ル・ヴァン・エ・ラ・ヴィアンド」は、目下のところ値段では健闘しているようですが、リピーターを生み出すだけの魅力には乏しいと感じました。

まず、メニュー構成に問題があります。
前菜の多くが冷製のもので、しかも似たようなものが多い。
シャルキュトリー系と肉のテリーヌ、魚もサーモンやイワシのマリネと、冷たいものの揃えはそこそこあるのですが、それらを盛り合わせたおススメサラダを頼んでしまうと、他に選択肢がなくなってしまいます。
「温かい前菜は?」と店員にたずねると、「ハチノスのグラタンくらいですね」との返事には参りました。
ただ、そのグラタン、値段の割に味は悪くはありませんでしたが。

さらに困惑したのは、料理の量。
店員は「うちは多いですよ。そんなに食べられませんよ」と注文を減らすように促すのですが、出てきてみると、全然多くない。この種の「多い多い詐欺」の店、最近増えてませんか?

さらには、メインで1人1皿頼んだはずの150グラムのステーキを、あろうことか2人で1皿に減らしてしまってので、さあ大変。大の男が、たった75グラムの肉で、どう満足せい、というのでしょうか。
店員氏いわく「付け合せのポテトフライが多いので・・・」とのことでしたが、だからといって肉を減らしてしまうというのは、本末転倒。店名が泣こうというものです。

仕方なく追加で肉料理を注文したら、「時間かかりますよ」とのお返事。呆れてものも言えませんでした。

銀座でわざわざビストロなんぞをやっている理由は何なのか。
来てくれた客に、安くて美味いものを腹いっぱい食わせてやろう、ということではないのか。
それを、「食うな、頼むな、時間がかかるぞ」と客の食欲を抑制するのなら、飲食店で働くな、と言いたいです。

そんなに広くない店に、サービスの人が3人もいましたが、ワイングラスが空になっても全然気づかず、手をあげて大声で呼ばないかぎり、客席を見ません。私語をぺちゃくちゃやっているのも、気になりました。

メディアへの露出がなくなれば、おそらく淘汰されていく1軒だと思われます。