ブラッスリー・グー 神楽坂 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

ランチ税込1080円で前菜・メインを食わせてくれるフレンチ。世界的にみても、最高レベルのコスパではないでしょうか。デフレの極致、限界に挑む姿は神々しくもあります。近所の「俺のフレンチ」を寄せ付けない集客力が、実力の違いを見せつけています。
★★★★☆


ろくでもない飲食店が軒を連ねる牛込中央通り。
その象徴であった「俺のフレンチ」も、ようやく話題性を失って消沈。かつての行列も影をひそめるようになりました。
安かろう悪かろうの立ち食いフレンチ。経営者を持て囃したメディアは、どう落とし前をつけるのでしょうかね。

そんな栄枯盛衰とは無縁の存在として、独り孤高を保つのが、「ブラッスリー・グー」です。
前菜・メインの2皿とはいえ、ランチ1080円は驚くばかり。
手抜き料理でもないし、中国製の賞味期限切れ鶏肉加工品を使っているわけでもなし。
出てくる料理は、この値段としてはご立派としか言いようがありません。
それで、どうやって利益を出しているのでしょうか。
料理の質が同等程度の「オー・バカナル」だと、ワンプレートしか食えません。

1080円。
ユーロに換算すれば、今のレートだとざっと7,7ユーロ。
パリだと、カフェでサンドイッチかサラダくらいしか食えないでしょう。
世界的にみてもすごい価格設定だと思いませんか?

そんなグーのランチ。


豆乳と枝豆のブランマンジェ、ビシソワースがけ。
ひんやりしたじゃがいものスープに、やや甘めに仕上げてムース状の豆乳。枝豆のこりこりとした食感がアクセントです。
素晴らしい、と絶賛するものではありませんが、盛夏の昼には全然悪くない前菜です。
このほか、田舎風テリーヌや鴨のリエットなど、定番ビストロ料理いろいろから選べます。


メインは、この日のおすすめ、鶏のロースト、フランボワーズビネガーソース。
皮目をカリッと焼いたモモ肉に、やや酸味の効いたソースが良く合います。
ちゃんとフランボワーズの実を入れているところも立派。本質は細部に宿ります。

料理の後は、クレームキャラメルが200円、モンブランが400円と、デザートも格安。

なのに、です。
見ていて腹が立つのが、男性の一人客。
土曜の昼だというのに、まず酒の一杯も飲みやしない。
どいつもこいつも無表情に料理だけ食って、1080円で帰っていきます。
2人すわってくれれば、2160円になるところ、独りでテーブルを占有しているわけです。
せめて、200円のデザートくらい食ってやれよ、酒が飲めなきゃ、ペリエの1本でも飲んでやれよ、と言いたくなります。
お店の努力に甘えるだけの無粋な独り客は、すき家にでも行けばいい--、

と、憤慨したランチでした。