銀座 矢部 銀座 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

締めの蕎麦がウリの割烹料理屋。ただ、コースの料理も蕎麦も中途半端な印象で、どちらもレベルの高さを感じません。お店は銀座の一等地ゆえ、お値段だけは超一流ですから、割に合わないでしょう。新宿御苑時代の方が良かった、という人はきっと多いはずです。
★★★半☆☆


中央通りに面した銀座8丁目という立地。地下の店とはいえ、家賃は高いのでしょうね。

結論からいうと、1人2万5千円超も取るにしては、料理も蕎麦も冴えません。
新宿御苑という立地で、そこそこの値段でやっていれば良かったものを、銀座に出てきてインフレだけを起こしてしまったようです。

例えば、お造り。
客数は少ないのに、マコガレイは切り置き。
身は乾燥して、瑞々しさがありません。
切り付けも小さく、申し訳程度の量のエンガワが、かえって貧乏くさい印象を与えます。

あとは、マグロの赤身。
不味くはないですけど、ごく普通のレベルでしかなく、わざわざ銀座の高額店で食べたいとは思いません。

蕎麦のみならず、最近は寿司も出すようになったようで、シンコと新イカの握りも、1貫ずつ出てきました。
元々、シンコなんぞを愛でるのは愚の骨頂と思っているので、ありがたくも何ともありません。
「仕事が大変」と嘆く新イカも、仕込みの苦労がしのばれるようなものではないです。

その後も、お椀はハモ、焼き魚は鮎、とベタベタな展開。
この時期は、どの店もハモを出してくるので、質の優劣はすぐにバレます。
ここのは、脂のノリも悪く、口の中でボソボソとし、ハモ特有の旨味が広がりません。
それを補うためでしょうか、吸い地がとても濃い。まるで昆布と鰹節のスープです。
過ぎたるは何とやら。厚化粧の出汁は、高級店らしくありません。

鮎も長い時間かけて焼いていますが、胸ビレなどは焦げてしまい、まず姿の点でイマイチ。
長良川産とのことですが、焼きの技術も鮎の質も、「喰膳あべ」に及びません。

美味しかったのは、新銀杏の飯蒸し。
緑が鮮やかな銀杏は、苦みにも清涼感があり、甘いもち米と良く合います。
ただ、横に添えた熊本産の天然うなぎが、また小さいこと。
とても食った気がしない量でした。「青華こばやし」のような気前の良さがありません。

あわびと冬瓜の冷たい煮物も、あわびが小さく、味が濃い。
こういう料理を絶賛しているグルメ本の編集者というのは、どういう基準でモノを言っているのか、不思議で仕方がありません。

ウリにしている締めの蕎麦も、香りやのど越しに光るものがなく、料理屋がついでにやっている域を出ません。
こんな内容で、なんで支払が2万5千円を超えるのか、やれやれな食後感となってしまいました。

リピートはありえませんし、おススメもしません。






銀座 矢部懐石・会席料理 / 新橋駅銀座駅内幸町駅

夜総合点★★☆☆☆ 2.5