




パリの店も畳んでしまって、影が薄くなってしまった感がありますね。
芝パークホテル内の店舗は、日本版ミシュランの2つ星だそうですが、オープン当初の活気も今は昔となりました。
その分、値段も下降してきたように思います。
夜のコース最安値は1万2千円(税込、サービス料別)。ホテル内のこの種のフレンチにしては、控え目と言って良いでしょうか。
そんなタテルヨシノ芝の料理。こんなものを食いました。

まずは、「ガスパチョ アジのマリネ添え」。
料理名からして、力が抜けてますね。
ガスパチョはとても良くできていますが、それ以上でもそれ以下でもありません。
横に一切れ置いたアジは、一体なんだろう?という疑問は最後まで解けませんでした。
特段、スープと相性がいいわけでもなく、さりとて邪魔でもなく・・・。不思議な取り合わせでした。

前菜2皿目は、定番料理、パテアンクルート。
何度も食べたこの料理、十年一日というべきでしょうか。
相変わらず、それぞれの肉の味がはっきりしつつ、他の具材と共鳴しあっているパテです。
ただ、純クラシックですので、古臭さはぬぐえません。

魚料理は、スズキ。
可もなく不可もない、特徴に欠ける料理です。
昔は、こんなありきたりな料理はやらなかったように思いますが、記憶違いでしょうか。

メインは、これも名物料理「テット ドゥ コション ソース トルテュ 」。
パリでは仔牛のツラ身でやっていましたが、日本の子豚頭も悪くありません。
ねっとりとしたゼラチン質を口の中でムニムニやるのは、うまいもんです。
初めての人は引くかもしれませんが、鶏のトサカも、クニュクニュとした食感が楽しめます。
古いレシピを復刻させた料理ですが、、これはいつまでも変わらないでいてほしい、と願わずにはいられません。
食事をしていて、どこか魂の抜けたような店内の空気感が気になりました。
柱になるメートルとか、オーナーシェフが発する気迫とか、凛としたものが見当たりません。
色々と縁がある店ゆえに、このままフェードアウトしていくとしたら寂しいかぎりです。