26歳かそこいらでパリに住むことになった私は、休みとなると欧州各地を旅してまわりました。
しかし。
決して足を踏み入れなかったのが、ドイツです。
単に「食わず嫌い」。偏見ですね。
きっとうまいモノはないだろう、ワインも甘いのばかりだろう・・・などなど。
今になって、後悔しています。
せめて、南の方はまわっておくべきだった、と。
地球温暖化の影響で、ドイツやオーストリアのワインの品質は、日進月歩で向上しているのだとか。
今頃になって、あわてていろいろ飲んでいます。
もっと早く気づくべきでした。
さて、そんなこんなで2か月続けて訪問してみました、六本木一丁目の「ツム・アインホルン」。
地味ながら、今回も発見がありました。

前菜はシュワルツワルドの生ハムとレバーペーストの盛り合わせ。
黒い森という意味の、バーデン州の山岳地帯で産した生ハムは、生なのにスモーキー。この燻香は、同様の香りを持つ燻製ビール、ラオホと良く合うことでしょう。
レバーペーストは、クリームが効いていて、万人受けする味でした。

4種類(多分それ以上)のキノコが入ったサラダ。
普通の上等。何気にうまいので、2回連続で食べてしまいました。

ご自慢のグラッシュスープ。これは、文句なしにうまい。
まるで、ビーフシチューを飲んでいるような、濃厚でありながら、重すぎないギリギリとついています。パプリカや香辛料の効かせ方も実にお上手。
ブタペストに長期滞在した時は、とことんグヤーシュ研究をしたものですが、この「グラッシュ」は良くも悪くも洗練されています。当たり前ですが、レストランの料理。

お店のおすすめで食べてみたメイン、「マウルタッシェン」。
本名は、マウルブロン・タイヒタッシェ、というそうです。
ドイツの南、シュヴァーベン地方の郷土料理。言い伝えによれば、修道女が肉禁止の日に、ひき肉とほうれん草のミンチをパスタの皮に包み、神様に見えないようにして食べたのが始まり、だそうです。全部、ネットのウケウリなので、真偽は不明ですが。
バイエルン州などでは、これぞ家庭料理、なのだそうです。

中はこんな感じです。ラビオリの親玉のような料理ですね。
上には、グリュイエルチーズが溶けています。
正直言って、素晴らしく美味い物、ではありません。
しかし、嫌う理由も見当たらない。素朴で優しい味わいは、バランスの良いドイツの赤ワインとも良く合います。
きらびやかな料理ではないですが、しみじみとした家庭料理というのも、たまにはいいものです。
3度目の訪問も遠からず果たしたい、と思う、最近マイブームなドイツ料理屋です。
ただし、誰にでもおススメするつもりは、全くありません。