ばんや料理 ひみ浜 富山県氷見市 | 御食事手帖

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氷見で寒ブリ尽くしを食わせる店の一つ。店主は代替わりしてましたが、親父に負けず劣らず個性的なキャラ。観光ナイズされているのが難点ですが、料理自体はまずまずです。いずれにせよ、好き嫌いの分かれる店なので、慎重な検討をおすすめします。
★★★☆☆


寒ブリのおかげで、その名が全国区になれた氷見。
冬しか行ったことがありませんが、いつも雪雲が垂れ込めて、どんよりとしている印象です。
久々の訪問でしたが、港近くに「氷見漁港場外市場・ひみ番屋街」なる観光施設ができていて、それなりのにぎわいを見せていました。

この手の「B級」ブリや、プロが買わないようなカニなどの鮮魚、訳の分からない富山の物産、屋台風飲食店などが並ぶ商業施設です。
ちなみに、「寒ブリは10kg以上から」と氷見の人たちが自分で言っているくせに、10kg以下のがんどブリを寒ブリと称しているのが、何とも不可思議です。
産地の魚介は何でもうまい、というわけではないですね。目利きが必要です。


さて、氷見での夜。
5~6年前に一度訪問したことのある、元・網元がやっていた料理屋「ひみ浜」へ行ってみました。
ところが、漁師だった店主はおらず、今は息子さんに代替わり。
この店、ブリの定置網漁の話を聞きながらの食事がウリだったのですが、息子さんは「オレは漁師じゃないから、よく分かんない」とのこと。
その割に、ブリの食べ方には随分うるさく介入してきます。
おしゃべりなのは父親譲りのようで、このあたり、キャラの好き嫌いが分かれるところでしょう。

店主の人柄はともかく、出てくる魚は、以前とそんなに遜色ないように思いました。



見た目、非常に貧相な前菜。
細っこいイワシですが、結構いけます。イカの黒造りもまずまず。


寒ブリ尽くしの前に、氷見の魚いろいろ。9種類もありました。
スズキ、コブダイ、ソイといった白身がとても良質。シコシコとした歯触りで、甘みも十分感じられました。
逆に、ヒラマサとかフクラギ(ブリの幼魚)とかは、真打の寒ブリとかぶってくるので、いらなかったのでは?同伴者からは、「フクラギなんて猫マタギ」との声も。


寒ブリの刺身。14kgと言ってました。
前歯で噛むと、かすかに「カリッ」とくる歯あたり。
最初は冷たく透明感のある脂の風味。口の中で温まるうちに、青魚の王様たる香りがぐーんと伸びてきます。最後に、ねっとりと甘い脂のうまみを、舌や上あごなどにたっぷり残して、胃に落ちていきます。

それにしても、1人4切れとは、ケチくさい!


続いて、ブリかま塩焼き。
「ここの部分出すのは、ホント、特別だからね」と何度も恩をきせられました。
食べるとなるほど、ごちゃごちゃ言うだけのことはあります。
フツフツと湯気を上げ、脂がじゅんわりにじんでくる身を思い切り頬張ると、「あー!ブリ食ってるな」という実感がこみあげてきます。
刺身より、このかま焼きやブリ大根の方が、醍醐味なのでしょうね。


ブリ大根もケチくさいポーションです。
割と淡い味付けですが、大根はブリの旨味をたっぷり吸いこんでいます。
大根、2つは入れてよ!


メインは、ぶりしゃぶ。

やっぱり、少し火が入った方が、ブリの風味をしっかり味わえるように思います。
大きい切り身をガブリとやると、冬の日本海に噛みついている気分に浸れます。
しゃぶしゃぶだと意外なほどに量も食べられました。
ブリと野菜を食べた後、氷見うどんを入れて、締め。


観光客御用達の店ですから、地元ムードは味わえません。
氷見には、もっとうまい料理屋もあるでしょう。
酒の揃えも貧弱で、持ち込み料も法外に高いです。
おススメはしませんが、料理自体はまずまずであったと記しておきます。