




東京の飲食店で、網採りの野鴨というと、新潟がメジャーですね。
しかし、富山や石川でも、いろんなスタイルの網猟をやっています。
ここ、射水市の「おぐら館」も、かつては自ら網猟をやっていたメッカのひとつ。
先代のご主人が亡くなってからは、他の猟師から供給してもらうようになったのだとか。
宿の周辺には、猟場となる溜池が点在していたそうです。
が、最近になってゴルフ場開発が始まり、一部は埋められてしまったとのこと。
今さらゴルフ場を作ってどうするつもりなんでしょう?
人間とは本当に愚かな生き物ですね。田舎の人ほど、自然の尊さが分からないのは残念なことです。
さてさて、それでもまだ採れる野鴨たち。
鴨すき焼をメインにしたコースを食しました。

まずは、野鴨のささみの刺身。
生は珍しいですね。
噛むとねっとりしてきて、すっきりした血の味が広がった後、肉のほのかな甘みが伝わってきます。珍味ですね。

こちらは、野鴨ハツとレバーの串焼き。
ハツがたまらなくうまい。けっこうジューシーで、しかもジビエの香りがムワッと鼻に抜けていきます。
レバーも濃ゆい。

こちらは、野鴨砂肝の唐揚げ。
コリンコリンとした食感で、後口に野趣が残ります。
ビールにぴったり。

前座がいろいろ出た後に、メインの野鴨すき焼き登場。
肉の色が違いますね。深く濃い赤は、ボルドー色といえばよいのでしょうか。
目に訴えかけてくる鴨肉ですよね。

すき焼きセット。

すき焼き、というよりは関東風のすき煮ですね。
なるべくレア―でとどめて、生卵につけて食べました。
風味高い肉と、噛むほどにジュワッと脂がにじむ皮の甘みがなんとも言えません。
ただし、歯が丈夫であることが求められますが。

締めは、野鴨の炊き込みご飯。
残った生卵と混ぜたり、すき焼きの汁をかけたりして楽しみました。
広尾の「アラジン」で食べた新潟の野鴨も素晴らしかったですが、富山のも肉質としては勝るとも劣らずでした。
ただ、日本式の調理法は、火通しの点で、フレンチほど精密ではありません。
後日行った、幡ヶ谷の「匠」という店の野鴨焼きに至っては、ひどいものでした。
御狩場焼きにせよ、鍋にせよ、野鴨を食べる方法としてはおおざっぱと言わざるをえません。
とはいえ、猟場の店まで足を運んで、ようやく学べることも色々あります。
ジビエ好きを自認する方、富山まで行く機会があったら、ぜひ試してみてはいかがですか。