




伝統と格式は、慢心や傲岸と隣り合わせ。
飲食店でも旅館でも、のれんが古いほど、それにあぐらをかく傾向がありますね。
創業600余年を誇る山代温泉の最高峰も、伝統と慢心の狭間で綱渡りを演じているようでした。
場所は一等地、山代のランドマーク「古総湯」の目の前。
前田の殿様が入浴したという元湯は、60℃を超し、泉質も折り紙付き。
エントランスから、「これでもか」というくらい魯山人の屏風絵や軸を飾り、ミーハー観光客の心をくすぐり続けます。

しかし、部屋のしつらえなどは、ごく平凡。普通の旅館と大差はありません。


中途半端にモダンで、和室に合わない調度。

ヒノキの香りはいいけれど、小さくて入りたいと思えない湯船。
大浴場に行けばいいだけのことですがね。

何の変哲もない洗面所。アメニティーはポーラ化粧品。さすが、伝統と格式。

こちらがご自慢のお風呂「原泉閣」。
名前はたいそう立派ですが、これもまあ、ごく普通でしょうか。
露天風呂が小さい。

湯上りには、まさかの硬水、コントレックス。
それと、「シャンパンも無料です」と仲居さんが鼻高々に紹介してくれたスペインのカバ。
社員教育を徹底して、原産地呼称を順守しましょう。

ウエルカム・抹茶は大変結構でした。
伝統的な仲居さんの人柄が弾ける夕食は、次回。