




西新橋の小路地にある、こじんまりとした外観の店「ボッテガ・ビオラ」。
店内も小さく、サービスの人も1人きりです。
黒板に書かれたメニューの文字も小さく、前菜、パスタ、メイン料理の名前がびっしりと書き込まれています。
なにはともあれ、この店の名物前菜、オリーブのフリットを注文。
種を抜いたオリーブに生ハムを詰め、衣をつけて揚げたもの。
塩漬け食材×2ですから、しょっぱいに決まっています。
冷たいビールをぎゅーっと飲みながら、あつあつのオリーブを次々口に放り込むと、長生きできそうにない気分になります。でも、やめられない、とまらない。
続いて、これも名物でしょうか、ムール貝のワイン蒸し。
ここのは貝の山盛りぶりで人気を博しているようです。
しかし、トスカーナの海沿いの街へ行けば、うんざりするほど大量のムールを食わせるのは当たり前。そういうのに慣れた身には、ここの店の量でも少なく感じます。貝殻がデカいから多いように見えますが、身が小さいので、そんなに食いではありません。
さらに前菜として、白アスパラガスのオーブン焼きをオーダー。
上にパルミジャーノと目玉焼きが乗ったミラノ風です。
6本ほどのアスパラに、結構な量の卵を入れてくれます。
が、耐熱容器の余熱であっという間に卵に火が通ってしまい、黄身のトロリ感が失われてしまうのが残念。
パスタは、旬が始まったサマートリュフのタリオリーニ。
クリームとバターがたっぷりのパスタに、店中に香りが充満するほどケチらずスライスした夏トリュフ。白トリュフよりもはるかに単価が安いとはいえ、これはなかなか気前の良い一皿です。
当然のことですが、猛烈にワインがすすみます。
これを目当てのリピーターが多いというのも、なるほどうなずけます。
メインは、イベリコ豚のカルビ炭火焼。
これも肉と付け合せのじゃがいもがたっぷりです。
せっかくならイタリア産の豚が食いたいところですが、D.O.P品種は日本に入ってないのでしょうか。
それはともかく、このイベリコ、みっしり付いた脂身が美味いのは当たり前として、肉汁したたる白身の部分もなかなかいけます。
この店、デザートには力をいれてないそうで、シャーベットくらいしかないとか。
シェフは笑顔の優男風ですが、料理と店のコンセプトはかなり男臭いですね。
このような料理ばかりですから、相当な量のワインを飲まないと食事が進んでいきません。
安いボトルもあるようですが、それなりのを頼むと、お支払が急上昇するのは当たり前ですね。
大盛り料理をあれこれ味わうためには、最低3~4人のユニットで行くべきでしょうか。
しっぽりとしたデートに使うと、食後の満腹感は半端ないものになるかもしれません。
とあれこれ書きましたが、シェフの人柄もよさそうなので、再訪してもいいかな、と思う一軒です。