




虎ノ門の裏路地の一角。
ご近所には「と村」があるくらいで、他に「これ」という店がないサラリーマン街です。
一時期、どの雑誌もバカの一つ覚えのように「肉料理」特集を組んでいましたが、その多くに掲載されていたお店。5月で開店1周年だそうです。
店内入って右のオープンキッチン以外は、暗いです。
椅子も小さく、テーブルも狭い。
客同士の間隔なんて、無いに等しい。
7人で出かけたら、6人分しか席がなく「詰めて座ってください」と言われる始末。
でも、そんなもんでしょう。
このカテゴリーの店に、狭いだのうるさいだのと文句を言うのは野暮というもの。
安くて旨い食堂なんて、世界中どこへいっても「こんなもん」です。
一人でも客を詰め込んで稼がなくては、安い店はやっていけないですからね。
細かいことには目をつぶり、料理だけを見てみれば、見事なガッツリ系。
量が多いし、肉々しい。
看板メニューのモツのBigメンチカツは、わらじのごとし。
メンチの中にコリコリとした食感のモツが細かく刻まれ、たっぷり入っています。
フレンチとは言い難い、ジャンクな味わいですが、次も必ず食いたくなる、後引く料理。
極上ハラミのローストと山盛りフレンチフライも、肉食い、大食いにはたまらない一皿。
特にカリカリのポテトは、手が止まらなくなる背徳の味。成人病に不安がある方は、やめておきましょう。
自家製モツソーセージも要注文です。
結構ジューシーで、スパイスの効きもなかなか。これまたコリコリとした歯ごたえが癖になります。
ワインがすすむこと、請け合い。
この店、野菜も悪くありません。
鎌倉から来るのでしょうか。ただのグリーンサラダでも、葉物の質が違います。
オーブンで焼き上げて出してくるバーニャガウダも、ハイカロリー&高塩分ですが、つまみになります。
4人以上で出かけるなら、ご自慢肉料理が山と積まれた「メガミートプレート」がお得。
ビジュアル的にも、カロリー的にも、圧迫感のあるてんこ盛り料理です。
これらパワフルな料理に合うよう、ワインも力強いものを揃えています。
南半球が充実していて、南アフリカやチリの濃いワインを、安く出してくれます。
好みを伝えると、価格帯の違う数本を持ってきてくれますので、予算に合わせて選べます。
上着をかけるところもありません。
鞄も山積みで置くしかありません。
サービスもあれこれ語るようなレベルではありません。
でも、不思議と憎めない。
退店時に「楽しかった」と思えるのは、ひとえに店の持つ独特の魅力によるものなのでしょうか。
職場が近所につき、ついリピートしてしまうお店です。