




ずっこけグルメガイド、ミシュラン日本版では、何件の焼き鳥屋に星が付いているのでしょうか。
個人的には、これが3件目となる一つ星焼き鳥屋。
五反田では「高はし」という店でロクな目に合わなかったにも関わらず、懲りずにもう1軒のこの店を試してしまいました。
駅から店まで、わずかな距離。
しかし、執拗なるポン引きの攻撃が続きます。
デートや接待には全く不向きな立地。
パリならピガールの裏通りでも我慢できますが、五反田の風俗街というのは何とも場末感たっぷりです。
入店すると、「そこでちょっと待ってください」と言われて、入口付近でしばらく立たされました。
小学校の頃を思い出し、非常に惨めな気分になります。
やっとのことで通されたカウンター。
周囲は、煙に満ちています。
炭火焼きの煙ではありません。たばこです。
見渡せば喫煙者だらけで、店内の雰囲気は、そこいら辺のチェーン居酒屋レベル。
店主も客も、微妙な味と香りにこだわる姿勢は感じられません。
ここまで来て帰るわけにもいかず、仕方なく食事をスタート。

750円のせせり南蛮漬け。
味が非常に濃い。ビールはすすみますが、せせりの味は覆い隠されます。

750円の鶏わさ。量が少ない。鶏の味も、ごく平凡。
「刺身なんで早く食べてください」とせかされましたが、意味不明です。

霜降り鶏とホウレン草のサラダ、温玉添えは1200円もします。
失礼ながら、料理上手な人なら家庭で作れるレベルではないでしょうか。

肝心の焼き物。
7本セットで2100円というのを選択。
まずは、ご自慢のねぎま。焼き鳥屋なのに、このねぎまは1人1本しか注文できないルール。
肉は大振りで、食べごたえがあります。弾力も程よく、皮の味も悪くありません。
この店で、評価できる数少ない串のひとつ。ただ、450円の価値があるかときかれると、答えに窮します。

砂肝は、特にどうということのない、普通の味。中までしっかり火が入って汁気は抜け、火通しの上手さを感じません。

380円もするつくね。
これといった特徴もなく、平凡な味。全く印象に残りません。
香ばしさがあるわけでもなく、さりとて肉のしっとり感が楽しめるわけでもなし。
ぼんやりした肉団子です。

せせりは、肉の味そのものは悪くありません。
しこしこしていて、ジューシーで。ただ、焼き手の技巧が光っている、というようなものではありません。

一番がっかりだったのが、このウズラ卵。
まず、生ぬるい。何の変哲もない、ただのウズラ卵。何をどう評価すれば良いのか。全く理解不能です。

〆のご飯も冴えません。
ご自慢の温玉そぼろ丼は、まずご飯とそぼろの量がアンバランス。
そぼろが多すぎで、ご飯が煮汁びたしに。汁だく丼は、吉野家の世界です。ミシュラン一つ星がやることではありません。
読者のみなさんは、きっとご自宅で、もっと上手に作っていることでしょう。
予約の際に「ワインはいろいろありますよ」と胸を張っていましたが、フランスのC級品のオンパレード。
店主は常にカリカリしていて、女将さん(お母さん?)やお弟子さんにとげとげしく当たってばかりいます。
客に見えるところで不機嫌な態度をむき出しにするのは、プロとして失格です。
鋭い目つきで、怒ってばかりいる店主を目の当りにすれば、客はくつろげません。
このレベルの店に勘違いのタネをばら撒く、ミシュラン日本版とは本当に罪深い存在です。
炭焼き よし鳥 (焼き鳥 / 五反田駅、大崎広小路駅、高輪台駅)
夜総合点★★☆☆☆ 2.0