




随分と手広くなったタテル・ヨシノグループ。
どれが、誰の経営だか良く分かりませんね。
このビストロは、吉野氏個人の経営なんでしょうか。
某支配人が足抜けして「エスキス」を立ち上げたのは知っていましたが、広尾の店もサービスの人が変わっていたのは驚きでした。
それはさておき、久々のヨシノ料理の安価版。
結論から言うと、相変わらずのコスパで満足のいく内容でした。

なにはさておき、まずはこれ。
鴨脂で揚げるフライドポテトです。
前と比べて、随分太切りになりました。
カリカリ度は下がる分、じゃがいもの香りと風味が楽しめます。
写真の量でスモールポーションとのこと。食べ過ぎに要注意です。

前菜1皿目は、パテ・アンクルート。上手に作っていて驚きました。
まず、皮がおいしい。
外はサクッとした感触を残しつつ、内側はしっとり。生地は薄めですが、肉の旨みをがっちり受け止めています。
中の肉も、きれいに層分けされています。
ミンチ、胸肉、フォアグラと、それぞれ個々の持ち味に役割を持たせて、総体としてちゃんと機能させています。
埋没させず、突出もさせない。
料理人による、見事な采配です。

オニオングラタンスープ。
滅多なことでは頼みません。
重度の猫舌なので。
しかし、外があまりに寒かったので、何年かぶりに食べてみました。
結果は誠にオーライでした。
亜麻色の玉ねぎが甘いこと。
出汁は濃過ぎず、強過ぎず。それでいて、肉を感じる加減です。
作る手間暇を考えれば、お値打ちのスープでしょう。

ヨシノグループの定番、ヤギのカルパッチョ。
今まで何度食べたやら。

メインは、カスレ。
自家製ソーセージとバラ肉、スペアリブに鴨モモコンフィが入り、豆の量も申し分なし。
ただ、豆はねっとりではなく、多少芯を残した煮方。
あまり好みではありません。
ねっとりだと重くなりすぎるので、吉野さんが好きではないそうです。
煮汁も軽め。
これだと確かに、結構な量の肉を平らげやすいでしょう。
カスレを分けあえる関係の男女には、うってつけです。

栗のデザートは、なぜか上にメラングが乗っています。
正統派モンブランではありませんが、それでも栗クリームはなかなか。
今はやりの激安ビストロではありません。
しかし、料理の質を考えれば、割安と言えるでしょう。
銀座の「ヌガ」あたりだと、質が落ちるのに1・5倍の料金を取られます。
広尾という場所が苦にならないなら、おススメです。