




新潮社とアディダス本社のすぐ近く。
といっても、賑やかな神楽坂とは異なる住宅街の一角です。
この店の前は、コンセプトぶれぶれの自然食系レストランだったと記憶しています。
そんなお店の後に収まったのが、神楽坂で最も高額なフレンチ「ラトラス」のビストロ版2号店。
ラトラスといえば、シェフがオータニのトゥールダルジャン出身というのをウリにしているお店。
私は以前、たとえセーヌ河岸の本店出身でも、今ではウリにならない、と書きました。
でも、食べログを見ると、皆さんいまだにトゥールダルジャン=鴨の名店というカビのはえた固定観念をお持ちなんですね。
こういうのを「論語読みの論語知らず」というのでしょうか。
それはともかく、この2号店。
夜6000円のプリフィックスは、この手のビストロとしては強気の価格設定です。
しかし、食べてみるとボリュームは十分。味もまずまずです。
前菜・メインの選択肢もそれなりで、何を選んでも追加料金なしというのが非常に良心的。

アミューズは3種類。
タネ抜きオリーブのマリネは、大問題。日本人はまずいオリーブを食わされ過ぎです。出すなら、タネ有りでうまいのを使ってほしいところ。
豚のリエットは、少なすぎて判定不能。
サツマイモのブルーテは、濃厚ながら素材を活かしています。リンゴのコンポートをかけたのも正解。

魚介系の前菜から、トマトのムース、軽くスモークしたサーモンと海老のとんぶり和え。
これは、まずムースが上手。トマトの風味がしっかり伝わってきておいしい。
刻んだサーモンとの相性も良いです。
ただ、エビととんぶりは疑問手。特にとんぶりは食感によるメリットを感じません。それと、エビは安っぽい。

肉系前菜からは、三元豚のゼラチンのクロケットを注文。
豚足や豚耳等のゼラチンを詰めたもの、との説明で期待しましたが、ご覧の通り。
パートブリックか何かで巻いて揚げた料理ですから、クロケットというより春巻きです。
このあたり、より正確なネーミングをお願いしたいですね。
料理としては、ゼラチンより肉の方が多く、プニプニ感に乏しいです。他店の豚足のファルシなどは、もっとプニュプニュしてコラーゲン全開です。要研究。

メインは、ニュージーランド産の子羊。
ポーションも大き目で、食った気がします。焼き加減も悪くありません。

ガルニも気がきいてます。
熱々のラタトゥーユの上に、こんがり焼いた子羊の脂身をオン。
「臭い」といって捨てる人もいますが、そこを客に出すとは、シェフは相当な子羊愛をお持ちの方でしょう。大変好感が持てます。
オープンから1年とのことですが、この日の客入りは半分弱でしょうか。
それでも皿出しが遅めだったのは気になります。
同時に席が埋まったら、1人しかいないサービスもてんてこ舞いになるでしょう。
本店オーナーが人件費を惜しんでいるようでは、立地の不利を跳ね返すのは難しいのでは。
ワインの持ち込みは3000円と高め。
もう1、2回通って、様子を見たいと思います。
デジーノ (フレンチ / 神楽坂駅、牛込神楽坂駅、牛込柳町駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.0