Bar Maquo(バルマコ) 神楽坂 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

本場感の漂うスペインバルです。内装だけもっともらしい店が多い中、ここは料理できちんと勝負しています。おまけに値段も非常に手頃。ありがたいことに、うまいシェリーも揃えています。ただ、その他のグラスワインは割高で、褒められたものではありません。要改善。
★★★★☆



灯台もと暗し。

この店の前を何百回と通過しておきながら、開店から1年ほども未訪問のままとしておりました。
夜だけの営業なのに、早い時は午前中から仕込みに励む姿を目にし、感心していました。
「いつかは試さねば」と思いつつ、長らく放置していた我が身の愚かさを恥じ入るばかりです。

結論から言うと、非常に善良なスペインバルです。

街場には、かっこだけのインチキなバルもどきが蔓延っていますね。
ちんけで不味いチマチマ料理を、法外な値段で売りつけてせこせこ稼ぐやつです。
何度か怒髪天をつく思いをした揚げ句、最近はスペインバルをことごとく敬遠するようになりました。

過去ブログをご覧いただければお分かりのとおり、私はスペインが大好きです。
フランスにいた頃は、良く通いました。
本場での思い出がたくさんあるだけに、「もどき」はどうも我慢できません。

その点、ここの料理は誠実です。
単なる模倣にとどまりません。
オリジナルを理解した上で発揮されるオリジナリティー。

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マイワシのビネグレッタ。
本場ならヒシコイワシを使うところ、よりうまいマイワシを使用。
下にしいたサクサクのパンがアクセント。マリネの酢に加え、ソースとしてバルサミコもかけていますから、酸味は重層的になっています。

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ポロネギのビネグレッタ。
マイルドな酢加減で、とろとろに煮たポロネギの甘さを引き立たせています。
本来は素朴な料理ですが、それをちゃんと昇華させています。

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ガリシア風の揚げパイ。
おそらくバッカラオ(塩だら)とトマト、玉ねぎ、ニンニクなどのペーストを詰めて揚げています。
これ、抜群にうまい。どちらかというとポルトガルが懐かしくなる味です。

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鞍かけ豆と塩だらの料理(名前失念)。
まず鞍かけ豆を使うところが素晴らしい。日西融合の妙です。
タラの塩加減と豆の甘み、味付けの酢加減が一体となり、とてもうまいツマミに仕上がっています。

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揚げじゃがいものブラバスソース。
大好きなバル料理です。
ここのは、イモが見事にカリッカリ。ジャンクな味わいのブラバスソースをべっちょり付けて食べると、背徳の美味さです。

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羊の肉ダンゴ。
これもうなります。複雑な香りと深みのある煮汁。もうちょっと硬めの方が好みですが、ダンゴの味もいけます。どうやったらこういう煮込みが作れるのか、知りたいものです。

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カジョス。ハチノスの煮込みです。
チョリソからくるスモーキーな味が、実に本場っぽい。
ひよこ豆はやや硬すぎでしょうか。
これとうまい赤をやりたいところですが、グラスワインは力不足でした。

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子牛のコトレッタ。
うすーい子牛にサクサクの衣をつけています。これもややジャンクなうまさです。

良心的な値段の料理に対して、グラスワインは冴えません。
水っぽいカヴァや味気ないロゼは、残念の一言。
800円前後の白も赤も、イマイチ飲んだ気がしないレベルです。
ここではボトルで頼む方が良いのかもしれません。

私が知る限り、この場所で営む飲食店は、みな短命に終わる傾向にあります。
しかし、「バルマコ」は大丈夫でしょう。
ここで稼いだ後、もっと良い立地を求めて羽ばたいていく可能性は、大いにありますが。
日曜営業のようなので、使い勝手も申し分なし。
また近いうちにうかがいます。