月桃の宿あかいし 石垣島 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

島の食材を見事に活かした家庭料理を堪能できる民宿です。畑と台所と食卓が至近距離で直結することによってもたらされる口福。ここには、島人が尊ぶ「普通の上等」があります。1泊2食で大人5000円。胃袋と心に刻み込まれる思い出の価値から考えれば、安すぎる料金です。石垣を旅するなら、迷わずここに泊まるべし。
★★★★★半


2013年には新空港が開港する予定の石垣島。
年々ますます、中途半端な開発が進んでいきます。
手つかずの自然が魅力の西表と、好対照です。

石垣島の楽しみとはなんでしょう。
1泊うん万円からするクラブメッドやANAインターコンチに泊まって、大名旅行を楽しむ?
そんなのは、小市民的な贅沢でしょう。

沖縄にきて、沖縄の生活を感じない旅をするくらいなら、いっそサイパンかグアムにでも行った方がましでしょう。

よりリアルに島を体感したい向きには、この民宿をおススメします。

石垣島の北部に細く伸びた部分、かなり辺鄙な明石という小さな集落にあります。
観光客のメッカ「明石食堂」のすぐそば。
行列のできるすば屋以外、何もないところです。

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沖縄らしさと木のぬくもりが感じられる内装。清潔に保たれています。

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庭の畑は、おじぃが管理。
んじゃな(ニガ菜)、はんだま(水前寺菜)、さくな(長命草)などなど、沖縄の主な野菜や「くすいむん」(薬になるもの、の意)は、摘み立てのものが食卓に供されます。

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畑の恵みを、おばぁが台所ですぐ料理。
「私のは、本式の沖縄料理じゃない」と謙遜するおばぁ。
確かに、長く茨城県に住んでいたせいか、正調のうちなー料理ではないかもしれません。
しかし、世俗化した観光料理屋なんぞは足元にも及ばない、絶品家庭料理を次々と作ってくれます。

初日の晩ご飯。
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ミミガ―のサラダ。
ぱぱやー、はんだま、ゴーヤー、さくな、たまねぎ、きゅうりなどなどに、どっさりのミミガ―を入れたご馳走サラダ。
ミミガ―といえば、酢の物か和え物と相場が決まっていて退屈な料理が多いですが、これは見事。一口食べるごとに、いろいろな味がして、楽しませてくれます。

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赤米入りのジューシーとアーサ汁。
このジューシーがまた、うそみたいに美味い。
普通はラードをかけ回すのですが、おばぁは良質のゴマ油を使います。
干しシイタケや昆布の出汁も沁み込んで、滋味あふれるご飯物。
どっさりのアーサと豆腐の入った汁も、手堅くいけます。

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煮つけ、ですがさすがに一味違います。
大根のように見えるのは、ぱぱやーです。味がよくしみて、うまいのなんの。
ご飯に合うし、酒にもぴったり。

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アーサと卵の炒め物。
磯の香りがプンプンのアーサをストレートに味わえる料理、どこでもありそうですが、こうやって食べるのは初めてです。

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島らっきょと鶏、南瓜の揚げ物。
らっきょも庭で採れたもの。伊江島などで採れるよりも小ぶりですね。

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もちろん、すぬい(もずく)も出てきます。
ここでは、上にニンニクのみじんぎりをのせます。

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おじぃと一緒に、あり乾杯!
島の話をあれこれ聞きながら、手作り料理に舌鼓。
これに勝る楽しみはありません。
ただ問題は、非常に量が多いこと。
「かめー、かめー」(食べろ、食べろ)は、沖縄の伝統であり、島人のもてなしの基本です。
ここを訪れたなら、覚悟して食べましょう。

はちきれそうな腹を抱えて布団へ倒れ込み、初日の夜は終わりました。