暗闇坂 宮下 神楽 神楽坂 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

多店舗展開のお店にありがちな、見栄え重視で本質軽視の傾向が見てとれます。敷居は低く、見た目は華やかなので、この手の店を喜ぶご婦人は多いのでしょう。しかし、ここの価格帯であれば、他にもっとマシなものを出す店がゴマンとあります。
★★★半☆☆



一時期、麻布十番でブレークした店が多店舗展開を始めて、とうとう神楽坂にまで進出してきました。景気のよい話です。
一度だけ十番の店に行ったことがありますが、小金持ちのサラリーマンのためのこじゃれた合コンスポットという印象で、料理も冴えないため2度と行くことはありませんでした。

2人で個室、たばこOKの店を神楽坂で探していたら、たまたまヒットしたのがこの店でした。
ダメモトで行ってみましたが、案の定ダメでしたね。

1万円のコース。
まずプチプチと色々出てくる「彩り前菜数種」は、何を食ったのか全く記憶に残らないものばかり。
ひとつ、牛乳寒天みたいなのが突出して不味かったのだけ覚えています。

椀物は、トウモロコシのすり流し。
吸い地そのものの味をごまかせるから、すり流しは良い考えでしょう。
そこそこ甘いとうもろこしでしたが、1万円のコースの椀物としてはチープです。

造りは、なかなか健闘。
シマアジの薄造り、あいなめ、まぐろ、鯛、イカと、内容も充実。
多店舗経営ですから、仕入れでのボリュームメリットがあるのでしょう。
醤油ジュレも悪くありませんでした。

焼き物はカマスの塩焼き。
今が旬なんでしょうか?型は大きくなっても、夏場はパサつくように思います。
うまくなるのは9月頃でしょう。「秋カマスは嫁に食わすな」。魚の常識です。

温物として、「鱧の温菜仕立て」が出てきました。
小鍋に、鱧と冬瓜、茄子などの野菜をたっぷり入れたもの。
夏なのに熱々を出してきて、フーフー食べさせるのは、むしろ正解でしょう。
ただ、鱧にコクがなく、出汁に力がない。もうちょっとお金をかけないといけません。

強肴として、いちぼの低温ロースト。
個人的には、低温調理はあまり好きでないし、ローストビーフも好みません。
旨みが抜けたような味で、どうもいまひとつでした。

〆のご飯は、もはや意味不明。
車えびとデリシャストマトの炊き込み、パルメザンチーズ・・・だそうです。
「バカ―ル」のマネ?と聞きたくなるようなご飯。女子受けを狙ったものでしょう。
世の女子のみなさま、甘く見られていませんか?

食後感は、たいへん空虚なものでした。
1万円なら、もっとできるでしょう。
サービスも無機質で、味気がありませんでした。
多店舗経営というのは、本当にむずかしいものです。