「フランス料理とどこが違うのか?」
パスタを除くと、特にメインディッシュなどは、見た目も味もかなりフレンチと近似値になります。
この疑問をイタリア人にぶつけると、必ずムッとされます。
「歴史を学びなさい。フランスが我々の真似をしたのです」
昔、ソレントの「ドン・アルフォンソ」というレストランで、こう怒られました。
たしかに、アピシウスは古代ローマ人であり、「鴨のアピシウス風」はアラン・サンドランスの出世作です。
さて、「ダ・ヴィットリオ」での夕餉。
これもフランス料理に似ているか、と思いきや、どちらかというと現代スペイン料理風でした。
全12皿のご自慢のコースを選択。

夜の帳が降りてきて、松明に火が灯りました。

シェフが常連カップルと抱擁の図。

ワインリストはiPad。
ナパの「フレンチランドリー」をはじめ、ワインに力を入れている店では増えてきましたね。

大変気立ての良いソムリエが、親切に対応してくれました。
ここの店員は、皆良い服装ですが、ソムリエにいたっては、三つ揃えでした。

この日も奮発。ラ・スピネッタのスタルデリ・バルバレスコ05です。
まだ若すぎですが、銘酒は若葉より芳し、です。
ざらつくタンニンの奥に、果実のふくよかな甘み。赤いベリーやチェリーの香りに、ガリッグのようなハーブ感が加わります。

料理の方は、まずアミューズに「牡蠣のジントニック」が登場。
生ガキとズッキーニなどにジン風味の液体を注いだもの。
面白いけど、特段おいしくはない。

殻付きウニにマッシュしたスイートポテトをつめ、バジルの泡をのせたもの。
魚貝が得意と聞きましたが、野菜やハーブの使い方も上手。

生の赤エビにグリーンピースのスポンジ、エビのフュメかけ。
これはまるで、スペイン・バスク地方の「マルティン・ベラサテギ」を彷彿とさせる料理。
12皿という構成も、モダンスパニッシュ系ですよね。

こちらは生のマテ貝をスタウトビールでマリネしたもの。
貝が乗っているのは、殻ではなく、ブラックチョコレート。一緒に食べます。
難解な料理。

フォアグラ、鴨の胸肉、リュバルブの煮たものをカリカリポテトにつめたもの。

ブルスケッタ。といっても、そんじょそこらのとは大違いで、べらぼうにうまいです。
トマトの甘・酸が際立っています。

ポテトのズッパ、パンのクランブル、ザクロ、メロンとピスタチオのパウダー入り、キャビアのせ。
なんだか良く分からないように思うかもしれませんが、食べてみると絶品です。
久々にうまいキャビア入り料理を食べました。ポテトが濃厚で、薬味風のそれぞれのものが、適度に良い主張をしてキャビアを引き立てています。

5種の野菜の料理(正式名称分からず、メニューもないので)。
セルリアックや茄子に、ゴートチーズの酸味が加わり、イカスミパウダーが妙な食感を醸しだしています。

スカンピのラビオリ、はまぐりで香りづけした白いんげんのソース。
唯一、パスタらしい料理。手打ちの皮がもちぷるでおいしい。中には砕いたスカンピがぎっしり。

メインは、和牛のビーツソース。
お任せだから、仕方がないですね。でもまさかの和食材・・・。
ビーツのソースは、悪くありませんでした。

プレデセール。
パッションフルーツのアイス、パッションフルーツのソース。

赤いフルーツソースのババ。真ん中のケーキにラム酒が漂います。

アホガード。コーヒーの苦みと酸味が複雑に絡み合います。

さらに、食べ放題の焼き菓子やアイス、フルーツがセンターテーブルにドーンと積まれています。


さらにさらに、チョコレートのワゴンが各テーブルを巡回。
昔のトロワグロ(ロアンヌの本店ね)を思い出しました。

満腹で死にそうになったところで、お茶のワゴン登場。すごい種類。

官能的な香りがするグラッパで胃袋を燃焼させてから、寝床に入りました。
食って食って食いまくらせるイタリア式多皿料理、恐れ入りました。